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「オミクロン型」を北京オリンピックにリンクすると資源株に仕切り直し筋書き


今週の当コラムは、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン型」と来年2月に開催予定の中国の北京冬季オリンピックをテーマとすることとした。いずれも問題含みでリンクしている側面があるからだ。「オミクロン型」は、WHO(世界保健機関)が今年11月26日に最も警戒レベルの高い「懸念される変異株」に指定しそう名付けたが、その命名が一部物議を醸している。
 
 WHOは、いままで感染が確認された変異株にはギリシャ文字のアルファベット順に名前を付けてきており、コロンビアで確認された12番目の「ミュー」の次は、13番目の「ニュー」か14番目の「クサイ」の順番となるはずだった。ところが2つとも飛ばして15番目の「オミクロン」に決定した。とくに「クサイ」は、英語表記をすると中国の習近平国家主席の「習」と同じとなるために飛ばしたと受け取られ、WHOが、最大の資金拠出国の中国に忖度したのではないかと疑われている。
 
 WHOの中国への忖度は、これが初めてではない。あの2019年12月に中国の湖北省・武漢市で原因不明の肺炎患者が発生したと伝えられた時も同様であった。翌年1月9日にWHOに感染が報告されたのに、WHOが、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言したのは、やっと1月30日に開催された緊急委員会でであった。その1週間前の23日、24日の緊急委員会でもチャンスがあったのに「時期尚早」として宣言は見送られた。今回の「オミクロン型」の命名が、南ア政府の感染報告からわずか2日後だったのとはエラい違いである。この立ち遅れ・後手対応が、その後のパンデミック(世界的な大流行)を招いた原因とされているだけに、これが本当に忖度だったのか、それとも圧力があったのか、譲歩だったのか明らにすることを求め、WHO自身の責任を問う声は、いまだに消えない。
 
 一方、北京オリンピックも、まずワクチン接種の進展とともに沈静化した新規感染者が、世界的に再び増加に転じ、さらに今回の「オミクロン型」の感染拡散である。予定通りに来年2月に開催可能となるかが問題となる。東京オリンピック・パラリンピックは、1年延期されしかも無観客開催となったが、今後の感染状況では第二の東京オリンピック・パラリンピックにならないという保証はない。
 
 もともと北京オリンピックは、1936年にドイツのナチス政権下で開催されたベルリン・オリンピックと比較される要素を含んでいる。ベルリン五輪は、人種差別政策、軍国主義を旗印としたヒットラー政権のプロパガンダ(宣伝戦)として利用され、実際にベルリン五輪の3年後にナチスドイツは、ポーランドに侵攻し、第二次世界大戦に火をつけた。中国の習近平政権も、香港の民主化運動は強制排除したが、なお人権問題、台湾問題、さらに足元では女子プロテニス選手の行方不明問題まで抱え、米国のバイデン大統領は、選手団は派遣するが外交使節団は参加しない外交的ボイコットを呼び掛けている。
 
 こうした外圧をハネ返して五輪開催に漕ぎ着けたとしても、次は環境問題が待ち構えている。冬季オリンピックは、「雪と氷の祭典」であり、この雪が純白でなく大気汚染物質交じりの黒い雪、茶色の雪などとなったら参加選手の健康状態への悪影響が懸念され開催国の資格に疑問符が付き、国の威信にも関わる。暖房や電力供給を石炭火力発電から環境負荷の低いエネルギー源としなくてはならないことになる。LNG(液化天然ガス)火力や石油火力に依存することになり、ことによるとエネルギー源の爆買いの可能性も出てくる。
 
 シナリオの筋書きが大分長くなったが、ここでようやく「オミクロン型」が北京オリンピックにリンクする際の関連株の姿がみえてくる。LNG関連株、石油関連株の資源株である。原油先物(WTI)価格は、今年10月につけた約7年ぶりの高値である1バーレル=84.65ドルから足元の12月2日に一時、62ドル台まで売られ値を崩しているが、再騰含みとなる可能性も出てくる。関連株も下値調整を余儀なくされているが、台湾有事などの中国マターの地政学リスク関連株も含め好買い場提供とポジティブに対処するのも一考余地が出てきそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)


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