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【どう見るこの相場】7月値上げラッシュ銘柄は
【どう見るこの相場】7月値上げラッシュ銘柄は
 
【どう見るこの相場】7月値上げラッシュ銘柄は


 
7月値上げラッシュ銘柄は「賃上げと株高と物価の好循環」でゾーン入りの追い風も
 
 
■値上げラッシュに隠れた株高チャンス!7月に狙うべき銘柄は?
 
 往年の人気アイドルのヒット曲ではないが、「どうにも止まらない」。値上げラッシュである。販売価格は据え置き内容量を減らすステルス値上げなども混じる。本来は、値上げは慎重な上にも慎重な経営判断が求められる。値上げをしたはいいが、消費者にそっぽを向かれて浸透しなければ販売量が減少するだけで元も子もない。またライバル企業の価格政策も常に脅威となり、出し抜かれれば販売シェアを落とすことになり目も当てられなくなる。しかし先の6月中旬の日本銀行の金融政策決定会合の議事要旨でも、主な意見として「企業の価格設定スタンスが積極化してきている」と指摘された。公正取引委員会が目を光らす「談合」とはいわないまでも、かつての流行語風に形容すれが「みんなで値上げすれば恐くない」という横一線のラッシュだろう。
 
 株式市場にとっては、値上げはポジティブである。例えばオリエンタルランド<OLC、4661>(東証プライム)である。同社株は、6月23日に東京ディズニーリゾートのパークチケットの10月1日からの値上げを発表し、大人1デーパスポートの最高価格を現行の9400円から1万900円に引き上げ初の1万円超とする。株価は、前週末には流石に利益確定売りで続落したものの、値上げ歓迎の前週前半は、全般調整相場下で逆行高して約500円高し、2回の株式分割を勘案して実質の上場来高値追いとなった。ディズニー・マニアだらけで、入園者(ゲスト)のリーピーター比率が90%以上に達するゲスト構造からは1500円の値上げなど痛くも痒くもないとするのがマーケットの読みとなった。
 
■「賃上げと株高と物価の好循環」に乗る方法とは?
 
 さらにこの読みには、マーケット独特の裏読みも含まれているようである。岸田文雄首相の訴求政策は、「賃上げと物価の好循環」である。そこにさらにもう一つ「株高」を加えて「賃上げと株高と物価の好循環」とみるのである。値上げラッシュも、賃上げによる所得効果とともに、株高による資産効果が上乗せとなればよりリカバリーが容易となる。日経平均株価は、バブル相場崩壊、33年ぶりの高値までリバウンドし、個人金融資産は2043兆円と過去最高まで積み上がっている。また来年1月からは、非課税枠が拡大される新NISA(少額投資非課税優遇制度)がスタートし、来年度上半期に発行される新紙幣も、偽造防止のほかタンス預金のあぶり出しに一役を買うのが狙いとも勘繰られている。
 
 この裏読みの試金石になるのは、為替動向だろう。前週末の為替相場は一時、1ドル=145円台と昨年9月に日銀が、為替介入に備えて市場関係者に為替水準について問い合わせをする「レート・チェック」水準どころか、大規模な円買い・ドル売りの為替介入をした昨年9月22日の水準をも上回った。円安・ドル高は、輸入物価の上昇を通じて物価上昇の要因となるが、政府・日本銀行はいまのところ口先介入だけで昨年3回も実施した円買い・ドル売りに動いていない。
 
 また、日銀は今月7月27日、28日に金融政策決定会合を開催する。これに先立つ7月25日、26日に米国FRB(連邦準備制度理事会)が、FOMC(公開市場委員会)を開催し、利上げ再開がほぼ市場コンセンサスとなっている。円安・ドル高は、日米金利差の拡大を主因としており、日銀が、金融政策決定会合で金融政策正常化に二の足を踏み現状維持を決めるようなら足元の円安・ドル高は、政策目標にもなるということでもある。賃上げ銘柄は、促進税制まで導入される政策関連株だが、値上げラッシュ銘柄も、それに負けず劣らず政策関連株になるかもしれないではないか?
 
 さらに、7月は、6月30日の公務員の夏のボーナス支給を皮切りに夏のボーナス・シーズン入りとなる。今年の民間企業のボーナス支給額は、前年同期比3.91%増の95万6027円と過去3番目の大盤振舞とも報告されており、「賃上げと株高と物価の好循環」に追い風となる可能性もある。
 
 そこで今週の当特集では、OLCの今年10月の値上げより早期に足元の7月に値上げラッシュとなる関連株に注目することとした。民間信用調査機関の帝国データバンクが、前週末30日に発表した「食品主要195社価格改定動向調査」によると、今年1月から6月までの値上げは累計で2万91000品目に達し、半年で昨2022年通年の2万5768品目をオーバーして、7月も、3566品目が予定され累計3万品目を超えるとされた。
 
 この7月に値上げを予定している銘柄は、市場のセンターからやや外れた内需関連株、小型株が中心になるが、割安株も少なくない。また値上げラッシュのなか、逆に値下げを敢行したり価格据え置きで業績が好調に推移する銘柄もある。さらにこの関連では、6月30日に新規株式公開(IPO)されたクラダシ<5884>(東証グロース)は、フードロス食品をネット販売する独自のビジネスモデルが、値上げラッシュの対抗策として評価されて好調な初値形成をした。話題満載のなか値上げラッシュ関連株に「値上げと株高と物価の好循環」のゾーン入りの追い風を期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)


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