兜町カタリスト『櫻井英明』が日経平均株価や株主優待、投資信託、NISAなど幅広く紹介していきます。企業訪問を中心により密着した情報も配信中です。
会員情報作成
ログイン
初めてのお客様は、
『会員情報作成』から登録をお願い致します。
【どう見るこの相場】NISA拡充では
【どう見るこの相場】NISA拡充では
 
【どう見るこの相場】NISA拡充では

 
■NISA拡充では株式分割プラス高配当銘柄にニューマネーの優先流入を期待
 
 
「恒産なくして恒心なし」とは孟子の教えである。安定した財産を持ち経済的な余裕がなければ安定した道徳心を保つことは難しいと戒めている。この恒産は、こと金融資産に関してかつての金銭哲学では元本保証で確定利付きの金融商品を指していた。銀行預金、郵便貯金の類のミドルリスク・ミドルリターンの貯蓄である。老後資金に2000万円が不可欠かどうかは兎も角、安定した金利収入が高齢化社会を下支えする金融構造である。
 
 しかし岸田文雄首相の政策ビジョンの「新資本主義」ではスタンスがまったく異なる。その柱の一つの「資産所得倍増プラン」では、個人金融資産2007兆円を全世代的に貯蓄から投資にシフトさせ、日本全体の成長投資の原資とすることがグランドデザインされ、政策目標の合計投資額は5年間で倍増の56兆円と伝えられている。この目標を実現すべく今月中旬にも策定される来年度税制改正では、NISA(少額投資非課税制度)の投資可能期間の恒久化、非課税期間の無期限化、投資上限の拡大などが検討されている。昔々の証券会社のキャッチコピーの「銀行よさようなら、証券よこんにちは」の現代版である。
 
 日銀の「黒田バズーカ」の異次元緩和策で、預貯金金利が限りなくゼロ金利に近付き、利息収入だけでは銀行や郵便局の窓口に行くバス代にも足が出るほどだから、まるで「マッチ・ポンプ」のような政策的な老婆心、当然の政策推奨ともいえる。東証も、これに先立って今年10月に全上場会社に対して「投資単位引下げの検討のお願い」を発出した。投資家が投資しやすい環境を整えるため望ましい投資単位を5万円以上、50万円以下とするために株式分割の実施を促した。さらに投資単位が、100万円以上となる38社(今年10月26日現在)を名指しするリストまで公表した。
 
 もちろん株式は、元本保証でも確定利付き商品でもない。ハイリスク・ハイリターン、あるいはハイリスク・ノーリターンの可能性もあり、例えていえば競輪場・競馬場並みの鉄火場リスクは否定できず、恒産が不安定化する心配がつきまとう。さすがにNTT<9432>(東証プライム)民営化の政府保有株放出でハシゴを外され痛い目にあった投資家は、高齢化して残り少なくなっているようだが、NISA拡充などと囃し立てる「御用金相場」は油断ができない。
 
 仮に政府の投資目標額の何分の一、何十分の一、あるいは何百分の一がニューマネーとして一般NISAの個別株投資に流入するとしても、その投資行動は保守的なうえにも保守的になるはずだ。ハイリスク・ハイリターンの一発勝負はもちろんミドルリスク・ミドルリターンにも二の足を踏み、ローリスク・ローリターンにも甘んじる安心堅実投資になる展開も想定される。
 
 そこで今週の当特集は、相場全般が欧米各国の金融イベントや国内のIPO(新規株式公開)ラッシュなどでなお波乱展開が予想されるなか、流入するかもしれないニューマネーの投資行動を勝手読みして先取り投資を提案することにした。ターゲットは、投資しやすい環境を整えるために今年1年間に株式分割を実施し、なおかつ高配当利回り、低PER水準にある銘柄である。さらに投資単位が100万円以上と東証に名指しされた38銘柄のなかのバリュー株も注目され、東証の要請通りに株式分割に踏み切れば、プラスアルファも期待できることになる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)


話題レポート一覧へ
a