【どう見るこの相場】「天井三日、底三日」
【どう見るこの相場】「天井三日、底三日」 |
【どう見るこの相場】「天井三日、底三日」
【どう見るこの相場】「天井三日、底三日」のニューノーマル対応は業績再増額の超割安市況産業株で待ち伏せ
■昨今のマーケットは、ニューノーマル(新しい常態)
ベテラン投資家なら、一度や二度は相場格言の「天井三日、底百日」の痛い洗礼を受けているはずだ。高値で飛び付き買いをしてしまったと悔みはしたものの、損切りの踏ん切りがつかず現引きさせられて泣く泣く塩漬けの銘柄を長く抱えた経験である。バブル経済崩壊後の「失われた三十年」では、「底百日」どころか「底三十年」の苦行を強いられ、これがトラウマとなって今もって開けっ広げの強気にはなり切れない懐疑派も、少なくないと推測している。
ところが昨今のマーケットは、ニューノーマル(新しい常態)のようである。相場格言で表せばかつての「天井三日、底百日」が「天井三日、底三日」に変わったようにみえる。「天井三日」はそのままだが、高値でハシゴを外されても慌てる必要がなく、底練りもわずか三日ほどで終わって「底三日」としてリバウンドしてくれる。それほどマーケットの値動きが、日替わりで上に下へと大きくブレるからである。
早い話が、東京市場が祝日で休場となった前週末11日に米国市場で、ロシアのウクライナ侵攻を警戒する地政学リスクから米10年物国債利回りは、安全資産買いで低下したもののダウ工業株30種平均(NYダウ)が1.4%安、ナスダック総合株価指数が2.8%安と続急落し、高安が行き違いとなるグロース株もバリュー株もともに売られたが、これも「底三日」で消化してしまうかもしれないということである。
足元の東京市場でも、米国市場のグロース株に連動特性のある東証マザーズ指数は年初来、27%超も急落してが、2月に入って急落幅の3分の1戻しをクリアした。もちろんこうした高速エレベーター相場は、バブル相場とまではいかないが、フロス(泡)相場の天井期特有の強弱感の対立を象徴している可能性もある。しかし現在、発表が進行中の企業業績は、好調そのもので、東京市場でもむしろ下方修正組は少数派にとどまり、上方修正銘柄が掃いて捨てるほど多く増配、自己株式取得などの株主還元策を積極化するケースも目白押しである。ファダメンタルズが良好ということであり、この「天井三日、底三日」相場にはもう少し付き合ってもいいことを示唆している可能性もある。
ただそのケースで難しい問題は、銘柄選別である。業績を上方修正しながらまだ割安水準に置かれ、なおかつ株主還元策も発動した銘柄が要注目となるが、市況産業株にこうした銘柄が数多い。この見直しのキッカケになりそうなのが、日本銀行が連休前の10日に発表した今年1月の企業物価指数である。企業物価指数は、11カ月連続で前年同月を上回ったが、このうち1月の品目別国内企業物価で、伸び率が高かったのが木材・木製品の58.5%増に続き石油・石炭製品(34.3%増)、鉄鋼(28.1%増)、非鉄(26.5%増)と続き、関連株はいずれも今3月期業績を再三にわたり上方修正済みである。ウクライナを巡る地政学リスクは、「有事の戦略物資買い」として今後の加速要因となる可能性もある。
この市況産業株の代表といえるのが、今3月期業績を4回も上方修正し増配を繰り返した日本郵船<9101>(東1)と商船三井<9104>(東1)でPERは1倍台、年間配当利回りは11%〜12%と全市場ベースの配当利回りランキングの第1位、2位にランクインしている。両社の業績修正は、前期業績を含めて1年6カ月にも及んでおり、業績相場は「天井一年半」の大相場が続いていることになり、追撃期待の市況産業株もどの程度の「天井相場」を期待できるか待ち伏せしてみる価値はありそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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