483ドル高と反発、ナスダックは最高値
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【市況】483ドル高と反発、ナスダックは最高値 |
12日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前日比483ドル52セント高の4万4458ドル61セントで終えた。
この日朝方発表された7月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.7%上昇と、市場予想の2.8%上昇を下回った。一方、変動の激しい食品やエネルギーを除いたコア指数は3.1%上昇と、前月から拡大。予想も上回り、トランプ米政権の高関税政策による物価上昇圧力の根強さが示唆された。
ただ、市場ではトランプ米政権の関税の影響は限定的で、米連邦準備制度理事会(FRB)による「9月利下げが可能」(金融大手)との見方が拡大。投資家心理が上向き、幅広い銘柄に買いが入った。
米中両政府は11日、互いに一時停止している関税措置について停止期間を90日延長すると発表した。市場では「世界貿易の甚大な混乱を避けることにつながる協定を組むための、好ましい一歩」との見方があり、投資家心理を支えた。
カンザスシティー連銀のシュミッド総裁は12日の講演で、「経済がいまだに勢いを示し、企業の楽観を強め、インフレが我々の目標を上回っていることから、今のところは緩やかに制限的な金融政策スタンスを維持するのが適切だ」と語った。一方、リッチモンド連銀のバーキン総裁は同日、インフレと雇用のバランスがいまだに不確実であることから、「必要に応じて我々の政策スタンスを調整するのに良い位置にいる」と述べた。
ただ、市場はFRBが9月に利下げに踏み切るとの見方が支配的で、発言を受けた相場の反応は限定的だった。
ダウ平均の構成銘柄では、ユナイテッドヘルス・グループやゴールドマン・サックス、ボーイングが買われた。マイクロソフトやナイキも上げた。半面、マクドナルドやIBM、ジョンソン・エンド・ジョンソンが下げた。
ナスダック総合株価指数は反発した。前日比296.500ポイント(1.38%)高の2万1681.904と2営業日ぶりに最高値を更新した。メタプラットフォームズが上げた。交流サイト「スレッズ」の月間利用者数が4億人を超えたと伝わった。アルファベットも上昇。人工知能(AI)検索エンジンのパープレキシティAIがアルファベット傘下グーグルのブラウザー「クローム」の買収を提案したと伝わった。
S&P500種株価指数も反発し、前日比72.31ポイント(1.13%)高の6445.76で終えた。7月28日以来の最高値更新となった。

12日のシカゴ日経平均先物は上昇した。9月物は前日比980円高の4万3275円で終えた。この日は日経平均株価が1年1カ月ぶりに最高値を更新し、米主要株価指数も最高値圏で推移したため、シカゴ市場の日経平均先物には買いが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
43275 ( +635 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
43295 ( +655 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
12日の英FTSE100種総合株価指数は続伸し、前日比18.10ポイント(0.19%)高の9147.81で終えた。貿易問題を巡る米中の対立が和らぐとの期待から買いが先行し、朝方には8月6日につけた最高値(終値で9164)を上回る場面があった。
11日に米中両政府が互いに一時停止している関税措置について停止期間をさらに90日延長すると発表し、投資家心理の支えとなった。12日発表された7月の米消費者物価指数(CPI)がおおむね市場予想に沿った内容となり、同日の米株式相場が上昇して始まったことも支援材料となった。
貿易摩擦が世界景気に悪影響を及ぼすとの懸念がやや和らぎ、英豪リオティントといった資源に買いが優勢となった。英シェルなど石油が上昇した。他方、ソフトウエア開発のセージ・グループが下落。公益や不動産投資信託(REIT)が下げた。
FTSEの構成銘柄では、堅調な売上高見通しを発表した蒸気システム大手スパイラックス・サーコが12.95%と急伸。建機レンタルのアシュテッド・グループが3.96%高、インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)が3.05%高と続いた。一方、ロンドン証券取引所グループは5.27%安、会計ソフト大手セージが4.74%安と売られた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
12日のドイツ株価指数(DAX)は小幅に3日続落し、前日比56.56ポイント(0.23%)安の2万4024.78で終えた。貿易問題を巡る米中の緊張が緩むとの観測からDAXは前日比上昇して始まった。だが12日の欧州市場では競争激化への懸念などを背景にソフトウエア関連が売られ、ドイツでも独SAPの下げが指数の重荷となった。
個別では、業務用ソフトウエア大手SAPが6.96%安、12日に2025年4〜6月期決算を公表したハノーバー再保険が3.46%安、ドイツ取引所が3.18%安と下げを主導。他方、医療機器のザルトリウスは7.41%高、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズは4.21%高だった。
■フランス・パリ株価指数
欧州株式市場でフランスの株価指数CAC40は反発し、前日比0.71%高で終えた。