ダウ1ドル安、中東情勢に警戒感
![]() |
【市況】ダウ1ドル安、中東情勢に警戒感 |
11日のNYダウ工業株30種平均は小幅反落し、前日比1ドル10セント安の4万2865ドル77セントで終えた。このところ上昇していたハイテク株の一角に利益確定売りが出た。半面、朝発表の5月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回った。インフレ再燃に対する過度な警戒が薄れ、ダウ平均は上昇する場面があった。
S&P500種株価指数とナスダック総合株価指数はともに2月以来の高値圏にある。高値警戒感が株式相場の重荷となった。ハイテク株などに売りが出て、ダウ平均の構成銘柄ではエヌビディアやアマゾン・ドット・コムが下げた。
米政府が在イラク大使館の部分的な退避準備に入ったと報道。中東地域の安全保障リスクが投資家心理を圧迫した。米経済指標を受けて物価高再燃への過度な警戒が後退し、底堅さを保っていたダウは取引終盤にマイナス圏に転じた。
懸案となっている中国政府によるレアアース(希土類)の輸出規制を巡り、先行き不透明感が晴れていないことも相場の下押し要因となった。
懸案となっている中国政府によるレアアース(希土類)の輸出規制を巡り、先行き不透明感が晴れていないことも相場の下押し要因となった。
朝方発表された5月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.4%上昇と、伸びが4カ月ぶりに加速した。ただ、伸び率が市場予想を下回ったことが好感された買いも入り、相場の下値が支えられた。
5月の米CPIの上昇率は前月比0.1%と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(0.2%)を下回った。食品とエネルギーを除くコアの上昇率も前月比0.1%と、市場予想(0.3%)以下だった。トランプ米政権の関税政策が物価を押し上げるとの懸念があったなかで、市場では「株買いを後押しした」との指摘があった。
米債券市場では市場予想を下回るCPIが発表されると、長期金利が低下(長期債相場は上昇)した。米財務省が11日実施した10年債入札が債券需要の底堅さを示す結果となり、長期金利が一段と下がった。金利の低下も株式相場の支えとなり、ダウ平均は200ドルあまり上昇する場面があった。
そのほかのダウ平均の構成銘柄では、アップルやホーム・デポ、シスコシステムズが下げた。ウォルマートとメルクも安かった。半面、IBMやユナイテッドヘルス・グループ、ゴールドマン・サックスが上昇した。
ナスダック総合株価指数は4営業日ぶりに反落した。前日比99.113ポイント(0.50%)安の1万9615.876(速報値)で終えた。メタプラットフォームズやアルファベットが下落した。半面、テスラは小幅高で終えた。

11日のシカゴ日経平均先物は下落した。6月物は前日比40円安の3万8335円で終えた。この日は日経平均株価が上昇したものの、ハイテク株の一角が売られて米株式相場が軟調に推移したため、シカゴ市場の日経平均先物には売りがやや優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
38335 ( -105 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
38335 ( -105 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
11日の英FTSE100種総合株価指数は続伸し、前日比11.27ポイント(0.12%)高の8864.35で終えた。貿易問題を巡る米中間の緊張が緩和に向かうとの期待が投資家心理を支え、取引時間中に今年3月3日につけた最高値(8871)を上回る場面があった。
指数が最高値圏にあり、利益確定の売りも出た。指数は前日比で下げに転じる場面があるなど明確な方向感に乏しい展開だった。リーブス英財務相が11日に英議会へ提示した歳出見直しの中で住宅投資計画が示されたのを受け、英パーシモンなど住宅建設が買われた。
FTSEの構成銘柄では、産金大手フレスニロが3.58%高、保険大手プルデンシャルが2.63%高、通信大手BTが2.55%高と上昇。一方、産銅大手アントファガスタは2.55%安、鉱業大手アングロ・アメリカンは2.39%安、小売り大手JDスポーツ・ファッションは1.98%安となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
11日のドイツ株価指数(DAX)は4日続落し、前日比38.66ポイント(0.16%)安の2万3948.90で終えた。貿易問題を巡り米中の協議が継続するとの観測が投資家心理の支えとなりDAXは上昇する場面があったものの、積極的に買いを進める材料には乏しく、下落して終えた。
個別では、製薬大手バイエルが3.78%高、エネルギー大手シーメンス・エナジーが3.06%高、防衛大手ラインメタルが2.90%高と買われた半面、通信大手ドイツテレコムは1.71%安、化学品商社ブレンタークは1.65%安、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズは1.49%安で終了した。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は反落し、前日比0.36%安で終えた。