597ドル高、関税巡る過度な懸念薄らぐ
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【市況】597ドル高、関税巡る過度な懸念薄らぐ |
24日のNYダウ工業株30種平均は続伸し、前週末比597ドル97セント(1.42%)高の4万2583ドル32セントで終えた。
ダウ平均の上げ幅は一時650ドルを超えた。米メディアが24日までに、トランプ政権は「相互関税」を課す対象国の絞り込みを検討していると報じ、投資家心理の改善につながった。自動車や半導体など分野別の関税についても相互関税と合わせて4月2日に発表が計画されていたが、同時に公表されない可能性があると伝えた。
米ブルームバーグ通信や米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は23日までに、貿易相手国と同水準まで関税率を引き上げる「相互関税」について対象国が絞り込まれる可能性があると報じた。米CNBCによると、24日にはトランプ米大統領が減免措置を「多くの国々に与える」可能性について言及。医薬品や半導体など品目別の関税は「近い将来」と話し、当初予定の4月2日の公表に含まれない可能性を示唆したという。
市場では「これまで政策を巡る不透明感が株売りにつながっていたため、最悪なシナリオは避けられるとの観測から売りが目立っていた銘柄を中心に買いが入った」との声が聞かれた。
アマゾン・ドット・コムとエヌビディアの上昇が目立った。ダウ平均の構成銘柄以外ではテスラが12%近く上げるなど、主力ハイテク株への買いが相場を押し上げた。主要な米半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は3%近く上昇した。関税による経済やインフレへの影響を巡る懸念がいったん薄れ、景気敏感株や内需株にも買いが広がった。
S&Pグローバルが24日発表した3月の購買担当者景気指数(PMI)速報値で総合は53.5と2月(51.6)から上昇した。製造業はダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想を下回った一方、サービス業は54.3と市場予想(51.5)以上に改善した。サービス業の景況感の悪化を巡る懸念が和らいだことも、市場心理を支えた。
個別銘柄ではホーム・デポやアメリカン・エキスプレス、JPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックスなどが買われた。半面、ベライゾン・コミュニケーションズやメルクなどディフェンシブ株の一角は下げた。
ナスダック総合株価指数は続伸した。前週末比404.542ポイント(2.27%)高の1万8188.593(速報値)で終えた。メタプラットフォームズやアルファベットが高い。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やパランティア・テクノロジーズへの買いも目立った。

24日のシカゴ日経平均先物は上昇した。6月物は前週末比380円高の3万7735円で終えた。この日はトランプ米政権の関税政策を巡る警戒感がいったん後退して米株式相場が上昇し、シカゴ市場の日経平均先物にも買いが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
37735 ( +385 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
37835 ( +485 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
24日の英FTSE100種総合株価指数は小幅に3日続落し、前週末比8.78ポイント(0.10%)安の8638.01で終えた。一部報道を受け、米政権が貿易相手国に同等の関税を課すとする「相互関税」についてトランプ米政権が対象となる国や品目を限定する可能性が意識されるものの、政策の先行きが見通せないことへの警戒感が根強い。
指数は前週末比で高く始まったものの、買いは続かなかった。
FTSEの構成銘柄では、通信大手ボーダフォンが4.43%安と大きく下げ、小売り大手JDスポーツ・ファッション(2.67%安)、不動産大手ブリティッシュ・ランド(2.60%安)も売られた。半面、投資持ち株会社パーシングスクエア・ホールディングスは3.94%高、投資信託会社ポーラー・キャピタル・テクノロジー・トラストは3.26%高、産銅大手アントファガスタは2.72%高と堅調だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
24日のドイツ株価指数(DAX)は4日続落し、前週末比39.02ポイント(0.17%)安の2万2852.66で終えた。米政権が近く発表するとされる「相互関税」について、米ブルームバーグ通信などはトランプ米大統領が対象国を絞り込む可能性があると報じた。市場の警戒ほど厳しい内容ではない可能性が意識されるものの、不透明感は投資家心理の重荷となった。
個別では、製薬大手バイエルが6.94%安と下落率が最大、同社の除草剤の発がん性を巡る米国での訴訟で、米ジョージア州の陪審が21日にバイエルに対して約21億ドルを支払うのが適当だと判断したことが材料視された。同社は異議を唱え、上訴する方針を示している。
化粧品大手バイヤスドルフ(4.17%安)、不動産大手ボノビア(3.77%安)が続いた。他方、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズは3.31%高、ドイツ銀行は2.60%高、通販大手ザランドは1.81%高で取引を終えた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は3日続落し、前週末比0.25%安で終えた。