ダウ小反落1ドル安、米中協議を注視
![]() |
【市況】ダウ小反落1ドル安、米中協議を注視 |
9日のNYダウ工業株30種平均は小幅に反落し、前週末比1ドル11セント安の4万2761ドル76セントで終えた。このところの株高で高値警戒感が意識され、取引終盤に小幅な下落に転じた。半面、貿易問題を巡る米中の協議が進展するとの期待から主力株に買いが入り、ダウ平均は高く推移する場面が多かった。
前週末6日発表の5月の米雇用統計が市場予想を上回り、S&P500種株価指数が同日に約3カ月半ぶりに6000台を回復した。2月19日に付けた最高値(6144)に接近し、主力株には利益確定売りが出た。S&P500種は9日、前週末比5.52ポイント(0.09%)高の6005.88と、2月21日以来の高値で終えた。
米中両政府はこの日、ロンドンで約1カ月ぶりに閣僚級の貿易協議を行った。米側のハイテク関連の輸出規制が緩むとの期待から、半導体株を中心に上昇した一方、AI(人工知能)分野の競争力が不十分と投資家に受け止められたアップルが値下がりした。
アップルは同日に年次開発者会議を開催。AI機能を強化した音声アシスタント「Siri(シリ)」の改良版について、詳細情報の発表が来年になると明らかにし、市場で嫌気された。
ダウ平均の構成銘柄ではアップルが下落し、指数の重荷になった。9日に年次開発者会議を開き端末の新機能などを発表したものの、人工知能(AI)の利用で出遅れているとの見方が根強い。トラベラーズやナイキも下落した。半面、ボーイングやアマゾン・ドット・コム、ウォルト・ディズニーは上昇した。
ナスダック総合株価指数は続伸した。前週末比61.284ポイント(0.31%)高の1万9591.237(速報値)と2月20日以来の高値で終えた。テスラやアルファベットが上昇した。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)など半導体株の上昇も目立った。

9日のシカゴ日経平均先物は上昇した。6月物は前週末比235円高の3万8225円で終えた。この日は日経平均株価が上昇したほか、ナスダック総合株価指数が続伸するなど米ハイテク株が堅調で、シカゴ市場の日経平均先物にも買いが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
38225 ( +115 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
38230 ( +120 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
9日の英FTSE100種総合株価指数は小幅ながら7営業日ぶりに反落し、前週末比5.63ポイント(0.06%)安の8832.28で終えた。貿易を巡る米中閣僚級協議が9日、ロンドンで始まった。交渉が進展に向かうとの期待がある半面、成り行きを見極めたいとする投資家の慎重姿勢は強く、積極的な買いは手控えられた。
FTSE100種指数が前週末に約3カ月ぶりの高値まで水準を切り上げていたため、利益確定の売りも出た。
FTSEの構成銘柄では、広告大手WPPがリード最高経営責任者(CEO)の退任発表により、2.76%安と下落したほか、保険会社のヒスコックスとアビバがそれぞれ2.44%安、1.88%安と下げを主導。一方、投資会社メルローズ・インダストリーズが3.59%高、蒸気システム大手スパイラックス・サーコが3.30%高だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
9日のドイツ株価指数(DAX)は続落し、前週末比130.14ポイント(0.53%)安の2万4174.32で終えた。ロンドンで開かれている、貿易を巡る米中閣僚級協議に関心が高い。協議の成り行きを確認したいと投資家の慎重姿勢が根強いなか、時価総額が大きい銘柄を中心に利益確定の売りが出た。
個別では、エネルギー大手シーメンス・エナジー(2.86%高)や業務用ソフトウエア大手SAP(1.74%安)、化粧品大手バイヤスドルフ(1.34%安)が売られた半面、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズ(1.43%高)や化学大手BASF(1.08%高)が買われた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は反落し、前週末比0.17%安で終えた。