715ドル安と大幅続落、トランプ関税で景気懸念
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【市況】715ドル安と大幅続落、トランプ関税で景気懸念 |
28日の米NYダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比715ドル安の4万1583ドルで終えた。物価高が続く中で消費支出が鈍り始めたとの見方が広まり、投資家心理を暗くした。
朝方発表された2月の米個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比2.5%上昇と、伸びは前月と同水準で予想とも一致した。一方、変動の激しい食料品とエネルギーを除いたコア指数は同2.8%上昇と、前月(2.7%上昇)を上回った。物価高の根強さを示唆する内容だったことが嫌気され、ダウとナスダックはマイナス圏で取引が始まった。
ミシガン大が公表した3月の景況感指数(確報値)は57.0と、予想を下回り、前月確報値の64.7から大幅に悪化した。トランプ大統領が高関税政策を矢継ぎ早に打ち出す中、インフレ率見通しは上昇。
市場では物価高の下で不況となる「スタグフレーションに陥る」との見方が浮上し、金融やハイテクなど幅広い銘柄の売りに拍車がかかった。
消費者はインフレの長期化に備え節約しているとの見方もある。実質の消費者支出は2月に前月比0.1%の上昇にとどまった。2024年11月に0.4%、12月に0.6%上昇した後、トランプ政権が発足した1月には-0.6%と低下した。
「消費者はトランプ政権による経済政策におびえている」と指摘する。インフレ上昇率が高止まりしたまま景気が減速する「スタグフレーション」への懸念が強まっているという。
大手テック株は軒並み下落した。グーグル親会社のアルファベットは5%安、メタは4%安、半導体大手エヌビディアは2%安となった。ナスダック総合株価指数は3日続落し、481ポイント(2.7%)安の1万7322で終えた。
景気動向に敏感とされる一般消費財株や金融株も下げた。アマゾン・ドット・コムとナイキはそれぞれ4%安、ゴールドマン・サックスは3%安となった。
トランプ政権が26日に発表した自動車関税の影響で自動車関連株は下落傾向が続く。米フォード・モーターは2%安、米ゼネラル・モーターズ(GM)は1%安、欧州のステランティスは4%安となった。
消費の減速懸念は個別企業にも表れている。スポーツアパレル大手ルルレモン・アスレティカは27日、25年2〜4月期の1株あたり利益(EPS)予想を2.53ドル〜2.58ドルと発表した。市場予想(2.72ドル)を下回ったことで投資家は業績の先行きを不安視し、28日に株価は14%安となった。
カルビン・マクドナルド最高経営責任者(CEO)は「消費者は物価高と景気の減速を懸念し支出を控えている」と説明した。

28日のシカゴ日経平均先物は下落した。6月物は前日比1015円安の3万6380円で終えた。米関税政策への警戒やインフレ懸念で米株式相場が大幅下落し、シカゴ市場の日経平均先物も大きく下げた。
シカゴ日経225先物 (円建て)
36380 ( -630 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
36465 ( -545 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
28日のFTSE100種総合株価指数は小幅に続落し、前日比7.27ポイント(0.08%)安の8658.85で終えた。米関税政策を巡る不透明感が投資家心理の重荷だった。米国で物価上昇圧力の根強さが嫌気され、28日の米株式市場で主要な株価指数が下げ幅を広げると、FTSE100種指数も水準を切り下げる場面があった。
FTSEの構成銘柄では、投資会社メルローズ・インダストリーズが4.63%安、航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)が3.95%安、賭け屋大手エンテインが3.56%安と下げを主導。一方、エネルギー大手SSEは3.85%高、送電大手ナショナル・グリッドは2.86%高、水道サービス会社ユナイテッド・ユーティリティーズは2.81%高と買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
28日のドイツ株価指数(DAX)は3日続落し、前日比217.22ポイント(0.95%)安の2万2461.52と11日以来、約2週間半ぶりの安値で終えた。米関税政策への警戒感や、貿易摩擦が欧米景気に悪影響を及ぼすとの懸念が強い。28日発表された米指標をきっかけに米国の物価上昇圧力の根強さや消費者の景況感悪化が意識され、投資家心理を冷やした。
自動車部品のコンチネンタル、独フォルクスワーゲン(VW)など自動車関連に売りが続いた。DAXは3月上旬につけた最高値(2万3419)から水準を切り下げとはいえ、2024年末時点と比べるとまだ1割ほど高く、利益確定の売りが出やすい面もある。
個別では、コメルツ銀行が5.15%安、エネルギー大手シーメンス・エナジーが4.96%安、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズが3.81%安と下げた半面、香料大手シムライズは2.59%高、エネルギー大手イーオンは2.25%高、不動産大手ボノビアは1.84%高で取引を終えた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は3日続落した。終値は前日比0.92%安の7916.08と2月上旬以来の安値だった。