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【市況】反落158ドル安、政府閉鎖リスク高まる |
29日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比158ドル84セント(0.47%)安の3万3507ドル50セントで終えた。ほぼ4カ月ぶりの安値。
朝方に発表された米連邦準備理事会(FRB)の重視する物価指標が市場の想定の範囲にとどまり、株買いが先行した。買い一巡後は米政府機関の一部閉鎖のリスクが意識された。高水準の米政策金利が長く維持されるとの見方も根強く、ダウ平均は下げに転じて終えた。
ダウ平均は月間では2カ月連続で下落し、下げ幅は1214ドル(3.49%)となった。下げ幅は2月以来の大きさとなった。
米下院はこの日、野党共和党が提案した10月末までのつなぎ予算を反対多数で否決。政府機関の一部閉鎖が回避できるかどうかは不透明だ。閉鎖となれば雇用統計などの経済指標が発表されなくなる可能性があるため、市場関係者は「経済情勢が分からなくなる」と懸念する。
全米自動車労組(UAW)のストライキ拡大表明も相場の重荷となった。
29日朝発表の8月の米個人消費支出(PCE)物価指数は前月比で0.4%上昇した。一方、食品とエネルギーを除くコア指数は同0.1%上昇と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(0.2%上昇)を下回った。コア指数の前年同月比の上昇率は3.9%と市場予想と一致し、7月(4.3%)から伸びが鈍化した。「コアインフレは根強いながらも、4%を下回ったことは朗報と受け止められた」という。ダウ平均の上げ幅は一時200ドルを超えた。
インフレの沈静化が進んでいるとの見方から、米債券市場で長期金利は一時、4.50%に低下した。だが、債券買いの勢いは次第に鈍くなり、米長期金利は前日終値(4.57%)をやや上回る場面もあった。金利の高止まりは株式の相対的な割高感につながった。
FRBの金融引き締めが長期化するとの見方も根強かった。ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は29日に公開した講演草稿でインフレは「まだ高すぎる」と指摘し、「抑制的なスタンスの金融政策を当面は維持しなければならないだろう」との考えを示した。このところFBR高官の金融引き締めに前向きなタカ派的な発言が目立っている。月末と四半期末が重なり、機関投資家のリバランス(資産配分の調整)に伴う売りが相場の重荷になったとの見方もあった。
個別では、銀行のJPモルガン・チェースや小売りのウォルマートが安かった。製薬のメルクや医療保険のユナイテッドヘルス・グループなどディフェンシブ株も売られた。半面、前日夕に発表した2023年6〜8月期決算で1株利益が市場予想を上回ったスポーツ用品のナイキは7%弱高となった。ソフトウエアのマイクロソフトとスマートフォンのアップルも上昇した。
ナスダック総合株価指数は3日続伸し、前日比18.045ポイント(0.13%)高の1万3219.322で終えた。画像処理半導体のエヌビディアやネット通販のアマゾン・ドット・コム、電気自動車のテスラが買われた。一方、ネット検索のアルファベットや交流サイトのメタプラットフォームズは下げ、主力株はまちまちだった。
ナスダック指数は月間では5.81%下げ、下落率は昨年12月以来の大きさとなった。

9月29日のシカゴ日経平均先物は続落した。12月物は前日比165円安の3万1825円で引けた。同日の東京株式市場で日経平均株価が下落し、米株式市場では米政府機関の一部が閉鎖されるリスクが高まる中、ダウ工業株30種平均が反落した。
日米の株式相場が弱含み、日経平均先物にも売りが及んだ。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
31825 ( -195 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
31850 ( -170 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
29日のFTSE100種総合株価指数は小幅に続伸した。前日に比べ6.23ポイント(0.08%)高の7608.08で終えた。同日、2023年4〜6月期の英実質国内総生産(GDP)改定値の発表とあわせて同年1〜3月期までの過去分が上方修正された。英経済の底堅さが意識されたことが、指数を支えた。消費財や素材、不動産関連などに買いが入った。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
29日のドイツ株価指数(DAX)は続伸し、前日比63.08ポイント(0.41%)高の1万5386.58で終えた。ユーロ圏のインフレ鈍化を示す指標を材料に、欧州中央銀行(ECB)が追加利上げに傾くとの見方が後退し、株式の買いにつながった。幅広い銘柄が買われるなか、コメルツ銀行とスポーツ用品大手アディダスの上昇が目立った。
■フランス・パリ株価指数
フランスCAC40種指数は0.26%高(週間で、1.09%安)だった。