ダウ続落120ドル安、ウクライナとロシア巡るリスクで
【市況】ダウ続落120ドル安、ウクライナとロシア巡るリスクで |
19日のNYダウ工業株30種平均は4日続落し、前日比120ドル66セント(0.27%)安の4万3268ドル94セントで終えた。ウクライナとロシアを巡る地政学リスクの高まりがダウ平均の重荷となった。
ロシア国防省は19日、ウクライナ軍が同日未明に米国製の長距離地対地ミサイルでロシア西部の軍事施設を攻撃したと発表。プーチン大統領は同日、核兵器の使用条件を示した核ドクトリンを改定し、ウクライナを軍事支援する各国も核攻撃の対象になり得ると示唆した。
ウクライナ情勢を巡る地政学リスクの高まりを受け、ダウは売りが優勢となった。
投資家のリスク回避姿勢が強まり、ダウ平均は午前に450ドル下げる場面があった。「ロシアが報復に出た場合に相場にどのような影響を与えるのか、市場の関心は次の展開に集まっている」との声が聞かれた。
ただ、ロシアとウクライナに関しては特に目立った続報がなく、売り一巡後は下げ渋る展開となった。20日に四半期決算の発表を控えるエヌビディアが5%近く上昇し、他のハイテク大手などへの物色も続いた。「足元の相場上昇に乗り遅れた機関投資家などから、年末に向けて買いが入りやすい」との声があった。
ダウ平均ではユナイテッドヘルス・グループやスリーエム、トラベラーズなどが下げた。一方、19日発表の2024年8〜10月期決算が市場予想を上回り、通期の見通しを引き上げたウォルマートが買われた。アマゾン・ドット・コムやボーイングも高い。
ナスダック総合株価指数は続伸した。前日比195.662ポイント(1.04%)高の1万8987.468で終えた。テスラやアルファベット、ネットフリックスが上昇した。
NYダウ 43268.94 ( -120.66 )
S&P500 5916.98 ( +23.36 )
NASDAQ 18987.47 ( +195.66 )
米10年債利回り 4.398 ( -0.017 )
NY(WTI)原油 69.24 ( +0.08 )
NY金 2631.0 ( +16.4 )
VIX指数 16.35 ( +0.77 )
【シカゴ日本株先物概況】
19日のシカゴ日経平均先物は下落した。12月物は前日比65円安の3万8275円で終えた。同日は米国市場でナスダック総合株価指数が上昇した。ただ、ウクライナ情勢への警戒感からNYダウ工業株30種平均は下落し、シカゴ市場の日経平均先物にも売りがやや優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
シカゴ日経225先物 (円建て)
38275 ( -145 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
38300 ( -120 )
※( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
19日の英FTSE100種総合株価指数は反落し、前日比10.30ポイント(0.12%)安の8099.02で終えた。ロシアと欧米の緊張感の高まりが意識され、リスク資産とされる株式の売りを促した。10月の英消費者物価指数(CPI)が20日に発表されるのを前に、積極的な買いが入りにくい面もあった。売り一巡後は個別材料を踏まえた買いも入り、指数は下げ幅を縮小した。
英シェルなど指数への寄与度が大きいエネルギー株が下げた。
FTSEの構成銘柄では、生命科学分野などの専門的商品・サービスを提供するディプロマが7.98%安、投資会社メルローズ・インダストリーズが2.77%安、保険大手プルデンシャルが2.38%安と下げを主導。一方、通信大手BTは3.49%高、19日公表した2024年9月通期決算で調整後の1株利益が市場予想を上回った、たばこ大手インペリアル・ブランズは3.08%高、不動産大手ブリティッシュ・ランドは3.00%高と買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
19日のドイツ株価指数(DAX)は3日続落し、前日比128.88ポイント(0.67%)安の1万9060.31で終えた。ロシアとウクライナを巡る地政学的なリスクへの警戒感から投資家がリスク回避姿勢を強め、ドイツ株には売りが先行した。成り行きを見極めたいとの雰囲気もあり、DAXは取引終了にかけて下げ幅を縮小した。
個別では、総合電機大手シーメンスが3.35%安、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズが2.15%安、高級車メーカーのポルシェが2.08%安と売られた半面、防衛大手ラインメタルは3.85%高、香料大手シムライズは0.97%高、不動産大手ボノビアは0.90%高で取引を終えた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は反落し、前日比0.66%安で終えた。
ロシアが核兵器の使用条件を示した核ドクトリンを改定した一方、ウクライナはロシア領内の軍事施設に米国製の長距離地対地ミサイルを撃ち込んだと伝わり、市場では地政学的リスクの高まりを嫌気した売りが優勢となった。