【市況】ダウ反発168ドル高、好決算が支え 関税懸念は重荷 |
30日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前日比168ドル61セント(0.37%)高の4万4882ドル13セントで終えた。一部の主力株に決算を好感した買いが集まり、指数を押し上げた。もっとも、トランプ米大統領による関税引き上げへの懸念は株価の重荷となり、主力株への売りを誘った。
景気の底堅さを示す統計を受けて買い注文が優勢となった。昨年10~12月期の実質GDP(国内総生産)速報値は年率換算で前期比2.3%増と、伸び率は前期(3.1%)から縮小したものの、個人消費が好調で、11四半期連続のプラス成長となった。また、新規失業保険申請件数も25日までの1週間で前週比1万6000件減の20万7000件と、低水準にとどまった。
パウエルFRB議長は29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で追加利下げに慎重な見方を示していた。
29、30日に発表された米企業の四半期決算はまちまちの内容だった。メタは1.6%高。昨年10〜12月期の売上高と純利益が四半期として過去最高を記録した。IBMは約13%上昇。1株当たりの利益が市場予想を上回った。
メタは決算説明会で、AI関連投資を重視する方針を改めて示した。中国のAI企業であるDeepSeek(ディープシーク)が低コストの高性能AIを開発したことで投資が鈍るとの懸念が広がった後で、投資家心理の改善につながった面がある。ダウ平均は一時4万5008ドルと、昨年12月に付けた最高値(4万5014ドル)に迫る場面があった。
ダウ平均は取引終了前に急速に伸び悩む場面があった。トランプ米大統領がカナダとメキシコに対して25%の関税を課す考えを改めて示したとロイター通信が報じ、主力株に利益確定売りが広がった。物価上昇圧力が高まるとの見方から米長期金利が水準をやや切り上げたのも米株相場の重荷だった。
ダウ平均の構成銘柄ではボーイングやナイキも上昇した。半面、マイクロソフトの下げが目立った。前日夕発表の四半期決算で示した売上高見通しが市場予想に届かず、米株相場の重荷となった。キャタピラーやセールスフォース、アップルも売られた。
ナスダック総合株価指数は反発した。前日比49.426ポイント(0.25%)高の1万9681.749で終えた。ブロードコムやアルファベットが上昇した。
【シカゴ日本株先物概況】
30日のシカゴ日経平均先物は上昇した。3月物は前日比315円高の3万9585円で終えた。この日は日米株式相場がともに上昇し、シカゴ市場の日経平均先物にも買いが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
39585 ( +165 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
39630 ( +210 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
30日の英FTSE100種総合株価指数は4日続伸した。終値は前日比89.07ポイント(1.04%)高の8646.88と、5営業日ぶりに最高値を更新した。30日に2024年10〜12月期決算とあわせて増配と新たな自社株買い計画を示した英シェルが買われるなど、指数への寄与度が大きいエネルギー株が上昇した。
同日にロンドンの金現物価格が一時最高値をつけたことなどを背景に、資源株が上げた。英航空機エンジン大手ロールス・ロイス・ホールディングスといった資本財関連にも買いが優勢だった。一方でBTグループなど通信の一角が下げた。
FTSEの構成銘柄では、保険会社セント・ジェームズ・プレイスが10.87%高、通信大手エアテル・アフリカが9.02%高、産金大手エンデバー・マイニングが7.20%高と急伸。一方、ホテル大手ウィットブレッドは2.33%安、自動車保険のアドミラル・グループは1.71%安、通信大手BTは1.61%安と値を下げた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
30日のドイツ株価指数(DAX)は3日続伸した。終値は前日比89.67ポイント(0.41%)高の2万1727.20と最高値を更新した。欧州中央銀行(ECB)が同日、利下げを発表した。同日発表のユーロ圏の経済指標がさえない内容だったのとあわせてECBの利下げが当面続くとの見方につながり、投資家心理が楽観に傾いた。
個別では、エネルギー大手シーメンス・エナジーが4.04%高、不動産大手ボノビアが3.13%高、化学品商社ブレンタークが3.04%高と買われた半面、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズは3.31%安、ドイツ銀行は3.22%安、郵便・物流大手ドイツポストは1.98%安で終了した。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は4営業日ぶりに反発し、前日比0.87%高の7941.64と24年6月上旬以来の高値で終えた。高級ブランドの仏ケリングなど消費関連や、欧州鉄鋼大手アルセロール・ミタルが上げた。他方、30日公表した24年10〜12月期の業績と25年1〜3月期の見通しが弱いと受けとめられたスイスの半導体大手STマイクロエレクトロニクスが大幅安となった。