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続落301ドル安、地銀株安が重荷
【市況】続落301ドル安、地銀株安が重荷


16日の米株式市場でNYダウ工業株30種平均は続落し、終値は前日比301ドル07セント安の4万5952ドル24セントだった。

 

米地銀持ち株会社ザイオンズ・バンコープはこの日、融資先による不正行為を受け、近く開示する決算に損失を計上すると発表した。他の地銀持ち株会社も融資に絡んだ訴訟提起を明らかにしたことで、地銀経営や景気先行きに対する懸念が浮上。大手行を含めた金融株などの売りが膨らみ、相場が押し下げられた。

人工知能(AI)の成長拡大見通しや、これまで発表されたJPモルガン・チェースなど金融大手の決算が景気の底堅さを示唆する内容だったことから、ダウなどは上昇して取引を開始。ただ、米政府機関の一部閉鎖が長期化する懸念や、米中通商摩擦を巡る不透明感も重なり、買いの勢いは失速した。

 

ダウ平均の構成銘柄ではないが、地銀のザイオンズ・バンコーポレーションが13.1%安、ウエスタン・アライアンス・バンコープが10.8%安となった。

 

信用リスクの高まりへの警戒から銀行株全体に売りが波及し、銀行株で構成される代表的な上場投資信託(ETF)「SPDR・S&P・バンクETF」は5.4%下げた。ダウ平均の構成銘柄では、JPモルガン・チェースやアメリカン・エキスプレスが売られた。

 

米中関係の悪化を懸念する見方も相場の逆風となった。中国は16日、レアアース(希土類)の輸出規制を巡って米国が「恐怖をあおっている」と批判した。ベッセント米財務長官が15日の記者会見で中国を非難したことに対しても、中国は反発する姿勢を示した。

 

米政府機関の一部閉鎖は16日も続いた。米連邦議会上院は同日、下院が可決した「つなぎ予算案」を巡って10度目の採決を行ったものの、またも可決には至らなかった。

 

16日発表の10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数はマイナス12.8と前月のプラス23.2から悪化し、プラス9.5を見込んでいた市場予想に反した。

市場では、「重要度の低い指標ではあるが、政府閉鎖で主要指標の公表が遅れているなか相場が反応しやすい面があった」との受け止めがあった。

 

朝方はハイテク株が上昇をけん引し、ダウ平均は上げる面があった。個別ではセールスフォースが3.9%高で終えた。15日に開いた投資家向け説明会で、2030年1月期通期の売上高目標を600億ドル以上にすると発表した。25年1月期から6割ほど増やすことを目指しており、買い材料視された。

 

半導体受託生産の台湾積体電路製造(TSMC)が16日に発表した25年7〜9月期決算で売上高などが市場予想を上回った。25年12月期通期の見通しも引き上げ、人工知能(AI)半導体の需要を期待した買いが一部ハイテク株に入った。

 

その他のダウ平均の個別銘柄では、ビザやナイキが売られた。朝に四半期決算を発表したトラベラーズも下げた。半面、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)やキャタピラー、エヌビディアが買われた。

 

ナスダック総合株価指数は反落した。終値は前日比107.543ポイント安の2万2562.537だった。テスラやメタプラットフォームズが売られた。一方、複数アナリストが目標株価を引き上げた半導体メモリーのマイクロン・テクノロジーは買われた。

 

【シカゴ日本株先物概況】
 

16日のシカゴ日経平均先物は上昇した。12月物は前日比25円高の4万8025円で終えた。自民党と日本維新の会が首相指名選挙での協力や連立政権の構築を視野に接近し、政局を巡る不透明感が後退したとして日経平均先物に買い入った。米中貿易摩擦への懸念がくすぶる中で米株式相場が軟調に推移したのが重荷となり、日経平均先物の上昇は小幅にとどまった。

シカゴ日経225先物 (円建て)

48025 ( -405 )

 

シカゴ日経225先物 (ドル建て)

48135 ( -295 )

 

( )は大阪取引所終値比






【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
 

16日の英FTSE100種総合株価指数は小幅に反発し、前日比11.34ポイント(0.12%)高の9436.09で終えた。

前日までに株価水準が切り下がっていた航空機エンジン大手の英ロールス・ロイス・ホールディングスが買われた。最近発表された統計を踏まえて労働市場の減速が意識されるなど、英景気には不透明感が根強い。英ユニリーバといった日用品関連や公益株に買いが優勢だった。

一方で英BPなど石油株や、保険に売りが優勢だった。

 

FTSEの構成銘柄では、特殊化学品大手クローダ・インターナショナルが8.54%高と急伸し、エネルギー小売り大手セントリカが2.97%高、飲料大手コカ・コーラ・ヘレニック・ボトリング・カンパニーが2.83%高で続いた。

 

一方、16日に2025年3〜8月期の決算発表とあわせて26年2月通期の収益に慎重な見通しを示したホテル大手ウィットブレッドは10.27%安と売り込まれ、産業・エネルギー会社のメトレン・エナジー・アンド・メタルズは2.76%安、自動車保険のアドミラル・グループも2.40%安と下げた。



■ドイツ・フランクフルト株価指数
 

16日のドイツ株価指数(DAX)は3日ぶりに反発し、前日比90.82ポイント(0.37%)高の2万4272.19で終えた。フランスの政治情勢が目先は安定しそうだとの見方からフランスの株式相場が堅調に推移し、投資家心理を支えた。

 

個別では、香料大手シムライズが4.07%高、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズが2.31%高、商用車大手ダイムラー・トラックが2.18%高と相場をけん引。半面、医薬大手メルクは3.95%安、ハノーバー再保険は2.24%安、ミュンヘン再保険は2.09%安で取引を終えた。




■フランス・パリ株価指数
 

欧州株式市場でフランスの株価指数CAC40は続伸した。前日比1.38%高の8188.59と3月上旬以来、約7カ月ぶりの高値で終えた。フランスの国民議会(下院)は16日、ルコルニュ内閣に対する2件の不信任決議案をいずれも否決した。同国の政治不安が後退し、投資家心理の改善につながった。

 

仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンに買いが続いたほか、酒類大手ペルノ・リカールの上昇が目立った。製薬のサノフィ、電機大手シュナイダー・エレクトリッククが上げた。高級ブランドの仏ケリングとエルメス・インターナショナルは下げた。


 

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