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155ドル安と3日ぶり反落、米中貿易戦争が重し
【市況】155ドル安と3日ぶり反落、米中貿易戦争が重し

 
15日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比155ドル83セント(0.38%)安の4万0368ドル96セントで終えた。
米政権の関税政策の内容を見極めたい雰囲気から売りが優勢となった。ダウ平均は前日までの2営業日で900ドルあまり上昇した後で、持ち高調整の売りも出やすかった。一方、市場予想を上回る四半期決算を発表した米銀行の株高が市場心理の支えとなり、下値を抑えた。
 
米ブルームバーグ通信によると、中国政府は国内航空会社に対し、米ボーイングの航空機を受け取らないよう命じた。トランプ米政権の高関税政策に絡んだ報復措置とみられる。機体引き渡しに悪影響が生じるとの懸念から売られた同社株は2%超安と、ダウの下げを主導した。
米中対立を受け、売上高に占める中国比率が一定程度あるナイキなども値を下げた。
翌日に3月の米小売売上高の発表や、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演を控える中、内容を見極めたいとの思惑から積極的な取引は手控えられた。
15日に出そろったシティグループなど米金融大手6社の決算は底堅かった。高関税政策が今のところ実体経済に打撃を与えていないとの安心感も広がり、相場の下値が支えられた。
 
米商務省は14日、半導体と医薬品の関税導入に向けた調査を始めたと明らかにし、関税政策を巡る不透明感が根強いことが相場の重荷となった。市場では、「関税政策や経済への影響、米企業の収益見通しなどの不確実性が残る限り、相場は大きく上昇しづらい状態が続くだろう」との声が聞かれた。
 
ダウ平均は一時、260ドルあまり上昇した。構成銘柄ではないが、バンク・オブ・アメリカが3.5%高、シティグループが1.7%高で終えた。15日朝発表した2025年1〜3月期決算で収益指標や1株利益がいずれも市場予想を上回った。経済の不確実性が高いなかでも経営陣が前向きな姿勢をみせたことも好感され、投資家心理の支えとなった。この日まで出そろった米金融大手6社の決算が軒並み市場予想を上回る内容となったことから、ダウ平均の構成銘柄ではゴールドマン・サックスが買われた。
 
米政権は前週に一部の国・地域を対象に相互関税を90日間停止した後、電子関連製品を相互関税の対象から除外した。14日には自動車関税を巡る救済措置を検討しているとも伝わった。貿易相手との交渉が進むとの期待もあり、相場の下値は堅かった。「恐怖指数」とも呼ばれる米株の変動性指数(VIX)は15日、8営業日ぶりの低水準となる場面があった。
 
15日発表の3月の米輸入物価指数は前月比0.1%下落し、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(横ばい)を下回った。4月のニューヨーク連銀製造業景況指数はマイナス8.1と市場予想(マイナス12.4)ほど悪化しなかった。インフレや景気に対する過度な懸念が和らいだことも相場の追い風となった。
 
そのほかのダウ平均の構成銘柄では、キャタピラーやアマゾン・ドット・コム、シャーウィン・ウィリアムズが売られた。半面、エヌビディアやアメリカン・エキスプレス、IBMは上昇した。
 
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに小幅に反落した。前日比8.316ポイント(0.04%)安の1万6823.168(速報値)で終えた。アルファベットやメタプラットフォームズが下げた。一方、ネットフリックスが4.8%高で終えた。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が14日夕に「2030年までに売上高を2倍とすることを目指している」と報じたことで買われた。


 

【シカゴ日本株先物概況】

15日のシカゴ日経平均先物は上昇した。6月物は前日比195円高の3万4490円で終えた。この日は米主要株価指数が下落したものの、日経平均株価が上昇したため、シカゴ市場の日経平均先物にも買いが優勢となった。
 
シカゴ日経225先物 (円建て)
34490 ( +130 )
 
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
34590 ( +230 )
 
( )は大阪取引所終値比







【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数

15日のFTSE100種総合株価指数は4日続伸し、前日比114.78ポイント(1.41%)高の8249.12で終えた。前日に、トランプ米大統領が自動車関税について救済措置を検討していると伝わり、投資家心理が上向いた。15日の米国株相場が底堅く始まったのも、英国株への買いを後押しした。
 
英長期金利が低下したのを背景に、不動産投資信託(REIT)を含め不動産関連の銘柄が買われた。英バークレイズをはじめ金融が上昇。英ロールス・ロイス・ホールディングスといった資本財関連に買いが入るなど、幅広い業種で買いが優勢となった。公益やエネルギーも上昇した。
 
外国為替市場で英ポンド相場が対ドルなどで上昇し、英国外での売上比率が高い銘柄の重荷となった面があった。蒸留酒大手ディアジオ、日用品のユニリーバなどが下げた。
 
FTSEの構成銘柄では、プライベート・エクイティ会社3i(スリーアイ)グループが5.79%高、保険大手セント・ジェームズ・プレイスが4.21%高、資産運用大手インターメディエイト・キャピタル・グループが3.77%高と大きく値を上げた。一方、酒造大手ディアジオは3.46%安、資源大手グレンコアは1.58%安、投資持ち株会社パーシングスクエア・ホールディングスは1.12%安と売られた。



■ドイツ・フランクフルト株価指数


15日のドイツ株価指数(DAX)は続伸し、前日比298.87ポイント(1.42%)高の2万1253.70で終えた。DAXが続伸するのは3月18日までの3日続伸以来およそ1カ月ぶり。トランプ米大統領が自動車関税について救済措置を検討していると伝わり、投資家心理が改善した。
 
個別では、セメント大手ハイデルベルク・マテリアルズが4.21%高、防衛大手ラインメタルが3.75%高、不動産大手ボノビアが3.71%高と相場をけん引。他方、スポーツ用品のアディダスは2.03%安、高級車メーカーのポルシェは0.45%安、製薬大手バイエルは0.31%安で取引を終えた。



■フランス・パリ株価指数

フランスの株価指数CAC40は続伸し、前日比0.85%高で終えた。自動車の欧州ステランティスの上昇が目立った。一方で消費関連の銘柄に売りが出て上値を抑えた。14日に公表した2025年1〜3月期の売上高が市場予想を下回ったLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンは前日比7.8%安で終えた。


 
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