ダウ9日続伸、564ドル高 貿易摩擦の緩和期待で
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【市況】ダウ9日続伸、564ドル高 貿易摩擦の緩和期待で |
2日のNYダウ工業株30種平均は9日続伸した。前日比564ドル47セント高の4万1317ドル43セントと、4月2日以来の高値で終えた。9連騰は2023年12月以来、約1年4カ月ぶり。
中国商務省はこの日、トランプ米政権が関税交渉を求めてきたことについて「評価を行っている」と述べた。また、中国が一部の米国製品に対し関税の適用除外を非公表で開始したとの報道も受け、市場で「中国が交渉に前向きになっている」(日系証券)との観測が台頭。同日発表された4月の米雇用統計が市場予想よりも強い内容だったことと合わせ、幅広い銘柄の買いを支えた。
関税政策などを巡って米中の協議が進み、米中貿易摩擦が緩和に向かうとの期待が投資家心理を支えた。2日発表の4月の米雇用統計が労働市場の底堅さを示したことも買いを誘った。
4月の雇用統計では非農業部門の雇用者数が前月比17万7000人増と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(13万3000人増)を上回った。失業率は4.2%と3月から横ばいで、平均時給の伸び率は0.2%と市場予想(0.3%)を下回った。総じて雇用情勢の健全さを示す内容となり、過度な米景気への懸念が和らいだ。
トランプ政権は2日、26会計年度(25年10月〜26年9月)の予算について大統領の要望を示す予算教書の一部を公表した。現在、米議会が25年末に期限を迎える所得税減税(トランプ減税)の延長などを盛り込んだ歳出法案を調整している。トランプ大統領が公約している大型減税への期待が株価を支えているとの見方もある。
ダウ平均は630ドルあまり上げる場面があった。米関税政策を巡る不透明感などで4月8日に直近安値を付けた後、短期的な戻りを見込んだ買いが続いている。週間では1200ドルあまり上げた。
ダウ平均の構成銘柄ではナイキやスリーエム、アメリカン・エキスプレス、キャタピラーなど景気敏感株が買われた。エヌビディアやマイクロソフトも上昇した。マイクロソフトやメタプラットフォームズ、アマゾン・ドット・コムが1日までに発表した四半期決算で人工知能(AI)投資が勢いを保っていることが確認され、ハイテクや半導体株の見直し買いにつながっている。
一方、アップルが3%あまり下げた。1日夕に発表した25年1〜3月期決算は市場予想を上回ったが関税の先行きへの影響が懸念され、複数のアナリストが投資判断を引き下げた。1日夕に四半期決算とあわせて発表した見通しがやや慎重と受け止められたアムジェンも安い。
ナスダック総合株価指数は続伸した。前日比266.988ポイント(1.50%)高の1万7977.728(速報値)と3月下旬以来の高値で終えた。メタプラットフォームズが高い。ブロードコムなど半導体株の上昇も目立った。
S&P500種株価指数は9日続伸した。前日比82.53ポイント(1.47%)高の5686.67(速報値)と3月下旬以来の高値で終えた。9連騰は2004年11月以来、およそ20年半ぶりだった。

2日のシカゴ日経平均先物は上昇した。6月物は前日比370円高の3万7215円で終えた。米中の貿易摩擦が緩和に向かうとの期待から同日の日米株式相場が上昇し、日経平均先物に買いが及んだ。
シカゴ日経225先物 (円建て)
37215 ( +405 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
37280 ( +470 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
2日の英FTSE100種総合株価指数は15日続伸した。15日続伸は、1984年に指数公表を始めて以降で最長となる。終値は前日比99.55ポイント(1.17%)高の8596.35と4月2日以来1カ月ぶりの高値となった。米中を含め、関税を巡る米国と貿易相手の交渉が進展するとの期待が投資家心理を支えた。
2日に2025年1〜3月期決算とあわせて自社株買い計画を示した石油大手シェルなどエネルギー株が買われ、指数を押し上げた。
2日に2025年1〜3月期決算とあわせて自社株買い計画を示した石油大手シェルなどエネルギー株が買われ、指数を押し上げた。
FTSEの構成銘柄では、航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)が5.01%高、投資会社メルローズ・インダストリーズが4.88%高、防衛大手バブコック・インターナショナル・グループが3.95%高と急伸。一方、流通大手セインズベリーは1.72%安、水道サービス会社ユナイテッド・ユーティリティーズは1.50%安、ホテル大手ウィットブレッドは1.42%安となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
2日のドイツ株価指数(DAX)は8日続伸し、前営業日4月30日と比べ589.67ポイント(2.62%)高の2万3086.65と3月25日以来の高値で終えた。米中を含め、関税を巡る米国と貿易相手の交渉が進展するとの期待から投資家心理が上向いた。
2日発表された米雇用統計を受けて米経済の下振れ懸念が後退し、2日の米市場で主要な株価指数が上昇しているのもドイツ株の相場を支えた。
個別では、エネルギー大手シーメンス・エナジーが7.49%高、航空機大手エアバスが5.33%高、防衛大手ラインメタルが5.14%高と買われた半面、ミュンヘン再保険は3.72%安、電力大手RWEは3.07%安、2日に2025年1〜3月期決算を公表した化学大手BASFは0.54%安で取引を終えた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数であるCAC40は続伸し、前営業日比2.32%高で終えた。終値は7770.48と4月2日以来1カ月ぶりの高値となった。