【市況】反発134ドル高、貿易摩擦も買い戻し |
4日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発し、前日比134ドル13セント(0.30%)高の4万4556ドル04セントで終えた。市場予想を上回る決算発表をきっかけにハイテク株の一角が買われ、投資家心理を支えた。
トランプ米政権は4日、中国からの輸入品に10%の追加関税を発動。中国は対抗措置として米国からの輸入品に関税を課すと発表した。米中関係が緊迫化し、世界経済に悪影響を与えるとの警戒感から、ダウは一時マイナス圏で推移した。
ただ、トランプ氏と習近平国家主席が近く協議する見通しだと報じられており、極端な対立は避けられるとの見方も浮上。地合いは徐々に上向き、ダウはプラス圏に達した。
ダウ平均の構成銘柄ではないが、ビッグデータ分析のパランティア・テクノロジーズが23.9%高で取引を終えた。前日夕発表の2024年10〜12月期決算に加え、収益見通しが市場予想を上回った。人工知能(AI)の需要が拡大するなか、アナリストによる高評価も相次いだ。
市場ではマクロ環境を巡る不透明感は根強いものの「予想を上回る企業収益に関心が向かっている」との声が聞かれた。他のハイテク銘柄にも買いが入り、アップルやアマゾン・ドット・コム、エヌビディアがそれぞれ2%前後上昇した。取引終了後に決算発表を控えていたアルファベットも買われた。主力ハイテク株の上昇は市場心理の改善につながり、相場全体を支えた。
米労働省が4日午前に発表した24年12月の米雇用動態調査(JOLTS)で非農業部門の求人件数は760万件と、QUICK・ファクトセットがまとめた市場予想(797万5000件)を下回った。市場では「労働市場は過熱しておらず、7日発表の1月の米雇用統計の上振れリスクへの懸念を和らげた」との受け止めがあった。米連邦準備理事会(FRB)による利下げ休止が長期化するとの観測が後退したことも、株買いにつながる面があった。
ただ、ダウ平均は100ドル近く下げる場面もあった。トランプ米政権は4日から中国からの輸入品に10%の追加関税を発動。中国政府は同日、米国から輸入する石炭と液化天然ガス(LNG)に15%、原油や農業機械に10%の追加関税を課すと発表した。10日から適用される。米中首脳が近く協議する予定だと報じられているものの、関税政策を巡る不透明感や米経済への悪影響への懸念は相場の重荷となった。
ハイテク以外の個別銘柄では、シェブロンが買われた。ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)やスリーエム、ウォルマートも高い。一方、メルクは9%あまり下げた。朝発表の四半期決算とともに示した収益見通しが市場予想を下回った。コカ・コーラも安い。
ナスダック総合株価指数も3営業日ぶりに反発した。前日比262.060ポイント(1.35%)高の1万9654.015で終えた。パランティアや大型ハイテク株のほか、アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やブロードコムといった半導体株の一角が買われた。
【シカゴ日本株先物概況】
4日のシカゴ日経平均先物は上昇した。3月物は前日比215円高の3万9110円で終えた。この日は日米株式相場がともに上昇し、シカゴ市場の日経平均先物にも買いが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
39110 ( +340 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
39145 ( +375 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
4日の英FTSE100種総合株価指数は小幅に続落し、前日比12.79ポイント(0.14%)安の8570.77で終えた。米政権の関税政策を巡る過度な警戒感がひとまず和らいだものの、四半期決算など個別材料のある銘柄を中心に売りが出て、指数の重荷となった。
FTSEの構成銘柄では、4日公表した2024年10〜12月期の業績報告を踏まえ、売上高に占める比率が高いドイツ事業の不振が伝わった通信大手ボーダフォンが7.03%安と急落し、製薬大手アストラゼネカが2.18%安、建機レンタルのアシュテッド・グループが2.17%安で続いた。他方、賭け屋大手エンテインは5.73%高、流通大手マークス&スペンサーは2.92%高、投資信託スコティッシュ・モーゲージ・インベストメント・トラストは2.50%高と買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
4日のドイツ株価指数(DAX)は反発し、前日比77.46ポイント(0.36%)高の2万1505.70で終えた。米政権の関税政策を巡る過度な懸念がひとまず和らいだ。明るい業績見通しを公表した銘柄への買いも指数を支えた。
個別では、半導体のインフィニオンが4日に2024年10〜12月期の決算発表とあわせて、25年9月通期の売上高見通しを上方修正したことが好感され10.37%高と急伸。業務用ソフトウエア大手SAPは1.58%高、化学品商社ブレンタークは1.53%高だった。半面、医療機器のザルトリウスは2.72%安、エネルギー大手シーメンス・エナジーは2.45%安、医薬大手メルクは2.39%安で終了した。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は反発し、前日比0.65%高で終えた。