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【市況】小幅続落1ドル安、米政府閉鎖の長期化を懸念 |
8日のNYダウ工業株30種平均は小幅に3日続落し、終値は前日比1ドル20セント安の4万6601ドル78セントとなった。エヌビディアなど人工知能(AI)向け投資の恩恵を受ける銘柄への物色が活発だった。米連邦政府機関の一部閉鎖が長引く可能性があるなか、消費関連株の一角の下げが指数の重荷となり、下落して終えた。
今月1日から2026会計年度(25年10月~26年9月)入りしたものの、与野党の対立激化で予算成立のめどは全く立たず、約7年ぶりの政府機関の一部閉鎖は終わりが見えない状況が続いている。米政府機関の一部閉鎖が長期化すれば、米経済活動に混乱が生じると警戒されている。主要な経済指標が発表されず、手掛かり材料が少なくなっている。
一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)は8日、9月16、17両日に開かれた連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表した。今後の政策金利動向などで見解が割れたが、大半の会合参加者が「年内のさらなる金融緩和が妥当な可能性がある」との判断を示した。
米起業家イーロン・マスク氏のAI開発企業xAI(エックスエーアイ)が200億ドルの資金を調達し、エヌビディア製画像処理半導体(GPU)の購入に充てると米ブルームバーグ通信が7日報じた。この報道をきっかけにエヌビディアに買いが入った。
エヌビディアのジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は8日の米CNBC番組でAIの開発が急速に進み、「過去6か月に演算処理需要が大幅に拡大した」などと述べた。AI投資の勢いが改めて意識され、半導体や半導体製造装置、サーバーなどを手掛ける銘柄、電力関連などが広く買われた。
値がさ株のキャタピラーも上昇し、ダウ平均を支えた。アナリストが目標株価を引き上げたことが材料視された。
ダウ平均ではIBMやゴールドマン・サックス、メルク、アメリカン・エキスプレス(アメックス)などが下げた。一方、シスコシステムズやユナイテッドヘルス・グループ、アマゾン・ドット・コムなどが上昇した。
ナスダック総合株価指数は反発した。前日比255.015ポイント(1.11%)高の2万3043.378で終えた。2日ぶりに最高値を更新し、初めて2万3000台に乗せた。アナリストが目標株価を引き上げたアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)や半導体メモリーのマイクロン・テクノロジーが大幅高だった。
S&P500種株価指数は反発した。前日比39.13ポイント(0.58%)高の6753.72で終え、2日ぶりに最高値を更新した。

8日のシカゴ日経平均先物は上昇した。12月物は前日比115円高の4万8125円で終えた。同日の米株式市場でハイテク株が堅調に推移し、日経平均先物にも買いが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
48125 ( +365 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
48215 ( +455 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
8日の英FTSE100種総合株価指数は続伸した。終値は前日比65.29ポイント(0.68%)高の9548.87と、3営業日ぶりに最高値を更新した。国際商品市場で金や銀といった貴金属の相場が堅調に推移し、英アントファガスタをはじめ鉱業株に買いが優勢となった。
英ロイズ・バンキング・グループといった銀行のほかヘルスケア関連の銘柄が上昇した。空運や通信株に買いが優勢だった。他方、不動産投資信託(REIT)や石油大手の英シェル、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)が下げた。
FTSEの構成銘柄では、産銅大手アントファガスタが4.22%高、金融大手ロイズ・バンキング・グループが3.70%高、鉱業大手アングロ・アメリカンが3.24%高と相場をけん引。一方、資産運用大手インターミディエイト・キャピタル・グループ(ICG)は4.23%安、物流施設大手セグロは3.08%安、蒸気システム大手スパイラックス・グループは2.25%安となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
8日のドイツ株価指数(DAX)は続伸した。終値は前日比211.35ポイント(0.86%)高の2万4597.13と、今年7月につけた最高値を約3カ月ぶりに更新した。フランスの政治が不安定さを増し、財政悪化につながるとの過度な警戒感が後退した。
フランスで暫定的に首相にとどまっているルコルニュ氏が8日、年内の予算成立に向けた各政党との合意形成について慎重ながらも楽観的な見方を示したと伝わった。投資家心理が上向き、時価総額が大きい銘柄を中心に買いが入った。ソフトウエアの独SAP、機器・システム大手シーメンス、保険のアリアンツなどが上げた。
他方、自動車関連は軒並み売られた。7日に今期の利益見通しを下方修正した独BMWは8%安で終えた。半導体のインフィニオンテクノロジーズのほか、化学大手BASFなど素材の一角が下げた。
個別では、通販大手ザランドが5.34%高、エネルギー大手シーメンス・エナジーが3.34%高、スポーツ用品大手アディダスが3.32%高と大幅に上昇。半面、業績見通しを下方修正した自動車大手BMWが8.25%安と急落し、同業のメルセデス・ベンツ(2.92%安)とポルシェ(2.06%安)もつれ安となった。
■フランス・パリ株価指数
欧州株式市場でフランスの株価指数CAC40は続伸し、前日比1.06%高で終えた。6日にフランスのルコルニュ首相が辞意を表明したのをきっかけに下げた分のおおかたを取り戻した。
欧州主要600社の株価指数であるストックス600は前日比0.79%上昇し、終値は573.79(速報値)と3営業日ぶりに最高値を更新した。