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444ドル安と続落、トランプ関税不安が重荷
【市況】444ドル安と続落、トランプ関税不安が重荷
 
7日のNYダウ工業株30種平均は続落し、前日比444ドル23セント安の4万4303ドル40セントで終えた。同日発表の1月の米雇用統計は強弱入り交じる内容だったものの、米連邦準備理事会(FRB)の追加利下げが後にずれるとの見方につながり、株が売られた。トランプ米大統領が新たな関税を打ち出すとの観測も重荷となった。
 
トランプ大統領は7日、多くの国を対象に相互関税を課すとの考えを表明。市場では「相互関税が何を指しているのかが分からない」(金融機関)と、先行き不透明感が高まった。この日発表された1月の米雇用統計を受けて米長期金利が上昇したことや、消費者調査でインフレ懸念の高まりが示されたことも株価を下押しした。
トランプ氏は今週初め、メキシコとカナダに対する25%の関税導入を延期した一方、中国には10%の追加関税を発動した。市場では、今後も関税の脅しが繰り返されるとの見方が強く、上値を追いにくい状況が続くとみられている。
 
1月の雇用統計では非農業部門の雇用者数が前月比で14万3000人増と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(16万9000人増)を下回った。半面、2024年11月分と12月分は上方修正されたほか、失業率は4.0%と12月(4.1%)から低下。平均時給は前月比0.5%増と、市場予想(0.3%増)以上だった。市場では「山火事や寒波による影響があったが、FRBが短期的には政策金利を据え置くとの市場の見方を変えるものではなかった」との指摘があった。
 
同日に米ミシガン大学が発表した2月の米消費者態度指数(速報値)は67.8と市場予想(71.3)を下回り、1月(71.1)からも低下した。1年先の予想インフレ率は4.3%と1月の3.3%から上昇し、23年11月以来の高水準となった。米政権の関税政策の影響を避けられないとの見方があったという。

ダラス連銀のローガン総裁は6日夕の国際決済銀行(BIS)のイベントで、「今後数カ月でインフレ率が2%に近づいたらどうするか。そうなればよいが、必ずしも委員会がすぐに利下げに踏み切るとは限らないだろう」とも語っており、7日の指標を受けてFRBが追加利下げに慎重になるとの観測が強まった。米債券市場では長期金利が前日比0.08%高い(債券価格は低い)4.51%を付ける場面があった。金利の上昇で、ハイテク株を中心に相対的な割高感を意識した売りが出やすかった。

個別では、アマゾン・ドット・コムが4%安で終えた。前日夕発表の24年10〜12月期決算で売上高が市場予想を上回った一方、25年1〜3月期の売上高見通しが市場予想に届かず、嫌気された。アップルやマイクロソフトも下げた。
ダウ平均の構成銘柄ではないが、鉄鋼のUSスチールが5.8%安となった。7日にトランプ大統領が日本製鉄によるUSスチールの買収計画を巡り、石破茂首相との共同記者会見で「買収ではなく多額の投資で合意した」と述べ、売りが優勢となった。記者会見の前にはトランプ氏が買収容認を検討していると米CBSテレビが報じ、5%高となる場面があった。

 
そのほかのダウ平均の構成銘柄では、アナリストが投資判断を引き下げたナイキが安かった。ボーイングやウォルマートも売られた。半面、エヌビディアやシェブロン、ビザは上昇した。

ナスダック総合株価指数は4日ぶりに反落した。前日比268.589ポイント安の1万9523.402で終えた。1月の中国の電気自動車(EV)販売が前年同月比で減少したと伝わったテスラが3.3%安となった。アルファベットやブロードコムも売られた。


 
NYダウ    44303.40 ( -444.23 )
S&P500    6025.99 ( -57.58 )
NASDAQ  19523.40 ( -268.59 )
米10年債利回り  4.495 ( +0.069 )

NY(WTI)原油   71.00 ( +0.39 )
NY金      2887.6 ( +10.9 )
VIX指数    16.54 ( +1.04 )
 
 
 
 

【シカゴ日本株先物概況】
7日のシカゴ日経平均先物は下落した。3月物は前日比595円安の3万8375円で終えた。7日発表の1月の米雇用統計は米連邦準備理事会(FRB)が当面は追加利下げを見送るとの観測を強めた。トランプ米大統領は複数の貿易相手国を対象とする相互関税を来週に発表すると話したとも伝わり、米株式相場が下落。シカゴ市場の日経平均先物にも売りが広がった。

シカゴ日経225先物 (円建て)
 38375 ( -465 )

シカゴ日経225先物 (ドル建て)
38415 ( -425 )

( )は大阪取引所終値比





【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
 
7日の英FTSE100種総合株価指数は3日ぶりに反落し、前日比26.75ポイント安の8700.53で終えた。同指数が前日に最高値を更新するなど、相場はこのところ段階的に水準を切り上げてきたため、週末を前に利益確定などの売りが出た。米英の長期金利が上昇幅を広げる場面があったのも嫌気された。
 
前日に上昇が目立った英アストラゼネカなど製薬が下げた。建機・産業機器レンタルのアシュテッド・グループといった資本財の一角や住宅建設、不動産投資信託(REIT)に売りが出た。半面、スイスのグレンコアなど資源に買いが優勢だった。明治安田生命が5%相当の株式を取得すると発表した英金融大手リーガル・アンド・ジェネラルが上昇した。
 
FTSEの構成銘柄では、住宅大手バラット・デベロップメンツが4.02%安、同業ビストリー・グループが3.82%安、包装資材大手モンディが3.48%安と下げを主導。一方、投資持ち株会社パーシングスクエア・ホールディングスは1.77%高、産金大手フレスニロは1.59%高、飲料大手コカ・コーラ・ヘレニック・ボトリング・カンパニーは1.54%高と買われた。


■ドイツ・フランクフルト株価指数
7日のドイツ株価指数(DAX)は4日ぶりに反落し、前日比115.42ポイント(0.52%)安の2万1787.00で終えた。同日にロイター通信が、トランプ米大統領が貿易相手国に対する相互関税の発表を検討していると報じた。これをきっかけに米関税政策への警戒感が再び強まり、DAXは下げ幅を広げた。
 
個別では、ポルシェが7.15%安と急落。電力大手RWEが2.35%安、スポーツ用品大手アディダスと自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が2.27%安で続いた。半面、防衛大手ラインメタルは2.41%高、セメント大手ハイデルベルク・マテリアルズが1.50%高、日用品大手ヘンケルは1.41%高で取引を終えた。


■フランス・パリ株価指数

フランスの株価指数CAC40は反落し、前日比0.43%安で終えた。


 
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