続落91ドル安、政府閉鎖の長期化懸念
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【市況】続落91ドル安、政府閉鎖の長期化懸念 |
7日のNYダウ工業株30種平均は続落し、前日比91ドル99セント(0.19%)安の4万6602ドル98セントで終えた。前週末に最高値をつけるなど短期的な過熱感が意識されるなか、利益確定の売りが出た。ハイテク株の一角に売りが出て、相場全体の重荷となった面もあった。
米上院は6日、与党共和党主導のつなぎ予算案を否決した。医療関連予算を巡る与野党対立が先鋭化を受けて予算成立のめどが立たず、政府閉鎖が早期収束するとの楽観論が後退。投資家心理が冷え込み、金融などの銘柄が売られた。
暗号資産(仮想通貨)を活用した賭けサイト「ポリマーケット」によると、1日から始まった政府閉鎖が2週間以上に及ぶとの予想確率は7割に達した。つなぎ予算案を巡る協議の着地点が見えないことから、当初の4割から大幅に跳ね上がった。
米連邦準備制度理事会(FRB)が今月の金融政策会合で追加利下げに踏み切るとの期待感を背景に、直近の主要株価指数は高値圏を維持してきた。高値警戒感による利益確定売りも進んだ。
ニューヨーク連邦準備銀行がこの日発表した9月の消費者調査によると、1年先の期待インフレ率は3.38%と、前月(3.20%)から大幅に上昇した。トランプ政権の高関税政策が物価高再燃を招くとの懸念から、相場の上値が抑えられた。
ダウ平均は200ドルあまり下落する場面があった。S&P500種株価指数は前日まで7日続伸し、連日で最高値を更新していた。10月に入り主要な株価指数が軒並み最高値をつけるなか、持ち高調整の売りが優勢になった。
ダウ平均の構成銘柄ではないが、オラクルが2.5%安で終えた。クラウド事業の利益率が市場予想を下回っているとの一部報道を受けて売りが出た。AI関連銘柄として物色されていたオラクル株が下げると、大型ハイテク株や半導体関連株にも売りが波及した。
市場では「株価指標面の割高感を意識する投資家が増えつつあるなか、マイナス材料に反応しやすくなっている」との声があった。
米連邦政府の一部閉鎖についての懸念も重荷だった。米ニュースサイトのアクシオスは「ホワイトハウスは一時帰休扱いとなっている政府職員の給与支払いを保証していない」などと伝えた。政府閉鎖がさらに長引けば米景気を下押しするとの警戒感から、投資家のリスク選好姿勢が後退した。
ダウ平均の構成銘柄ではセールスフォースやマイクロソフト、ナイキが下げた。ゴールドマン・サックスとキャタピラーも下落した。一方、AI新興企業と提携すると発表したIBMは上昇した。プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)やユナイテッドヘルス・グループが上げた。
ナスダック総合株価指数は反落した。前日比153.304ポイント(0.66%)安の2万2788.363で終えた。廉価版の電気自動車(EV)を発表したテスラに売りが出た。マイクロン・テクノロジーやアプライドマテリアルズ(AMAT)など半導体関連の下げが目立った。
S&P500種株価指数は8営業日ぶりに反落した。前日比25.69ポイント(0.38%)安の6714.59で終えた。

7日のシカゴ日経平均先物は下落した。12月物は前日比575円安の4万8010円で終えた。同日は日経平均株価が連日で最高値を更新したものの、米国株が軟調に推移したためシカゴ市場の日経平均先物には売りが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
48010 ( +70 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
48090 ( +150 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
7日の英FTSE100種総合株価指数は前日比横ばい圏で終えた。終値は同4.44ポイント(0.04%)高の9483.58だった。取引時間中には一時9500台へ上昇し、3日につけた最高値(9491)を上回る場面があったものの、取引終了にかけて上げ幅を縮小した。
FTSEの構成銘柄では、有害生物管理会社レントキル・イニシャルが3.90%高、25年9月期業績の進捗とあわせて26年9月期の自社株買い方針を示したたばこ大手インペリアル・ブランズが3.36%高、高級衣料のバーバリーが3.04%高と上昇。一方、賭け屋大手エンテインは6.54%安、包装資材大手モンディは4.82%安、小売り大手JDスポーツ・ファッションは2.44%安と売られた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
7日のドイツ株価指数(DAX)は前日比横ばい圏で終えた。終値は同7.49ポイント(0.03%)高の2万4385.78だった。フランスの政治や財政を巡る不透明感がくすぶるなか、事態の推移を見極めたいとの雰囲気が広がった。
ソフトウエアの独SAPが上昇したほか、特殊化学のシムライズなど素材関連に買いが入った。化粧品メーカーのバイヤスドルフなど消費関連や保険株に買いが優勢だった。一方で独BMWといった自動車・自動車部品の一角や、独シーメンス・エナジーが下げた。
個別では、香料大手シムライズが2.31%高、業務用ソフトウエア大手SAPが1.47%高、人工透析製品・サービスのフレゼニウスメディカルケアが1.16%高となった半面、自動車大手BMWは2.02%安、製薬大手バイエルは2.01%安、自動車部品大手コンチネンタルは1.96%安で取引を終えた。
■フランス・パリ株価指数
欧州株式市場でフランスの株価指数CAC40も前日比0.03%高と横ばい圏で終えた。一部金融機関が投資判断などを引き上げたと伝わったLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンなど、高級ブランドを含め消費関連の銘柄が上昇した。他方、仏BNPパリバやソシエテ・ジェネラル、クレディ・アグリコルといった金融には売りが続いた。