続伸312ドル高、関税警戒が一旦緩む
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【市況】続伸312ドル高、関税警戒が一旦緩む |
14日のNYダウ工業株30種平均は続伸し、前週末比312ドル08セント(0.77%)高の4万0524ドル79セントで終えた。
トランプ米政権が11日、相互関税の対象から電子関連製品を除外した。関税引き上げを巡る過度な警戒が後退し、投資家のリスク回避姿勢が和らいだ。ダウ平均の上げ幅は500ドルを超える場面があった。
米政権は11日夜、事業者向けの通知で、スマホやパソコン、半導体製造装置などを相互関税の対象から除外することを明らかにした。中国で多くの製品を生産する大手ハイテク企業に朗報となり、アップルなどに買い戻しが入った。
ただ、トランプ大統領は13日にはSNSで、スマホやパソコンを関税対象から除外しない考えを表明。同日夜には記者団に対し、半導体への追加関税を「来週にも公表する」などと説明した。高関税政策を巡る先行き不透明感は払拭されておらず、投資家らは慎重姿勢を崩していない。
ただ、トランプ大統領は13日にはSNSで、スマホやパソコンを関税対象から除外しない考えを表明。同日夜には記者団に対し、半導体への追加関税を「来週にも公表する」などと説明した。高関税政策を巡る先行き不透明感は払拭されておらず、投資家らは慎重姿勢を崩していない。
トランプ米大統領が14日、「いくつかの自動車企業に対して何か助けることを考えている」と話したと伝わった。米国での生産に切り替えるために「少々時間が必要だ」との認識を示したという。ダウ平均の構成銘柄ではないが、フォード・モーターやゼネラル・モーターズ(GM)などが買われた。前週には一部の国・地域を対象に相互関税が90日間停止された後で、貿易摩擦の激化を巡る過度な懸念が後退した。
市場では「最悪なシナリオを織り込んできた後でポジティブな材料に対して反応しやすい」との声が聞かれた。米債券市場では長期金利の上昇(債券価格の下落)が一服した。14日は前週末終値(4.49%)を下回って推移し、4.36%をつける場面があった。長期金利の低下も、投資家心理の一定の支えになった。
米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事は14日の講演で、関税引き上げによるインフレは「一時的」との見方を示した。「景気減速が著しく、景気後退の危険までさらすようであれば、私が従来考えていたよりも早く、より大幅に政策金利を下げることを支持するだろう」とも話した。FRBが必要に応じて利下げに動くとの見方も、株買いの安心感につながった。
ただ、ダウ平均は小幅安に転じる場面もあった。ラトニック米商務長官は13日の米ABCニュースの番組で、11日に除外した製品を今後詳細が発表される「半導体関税」に組み入れると表明した。米政権の通商政策の不透明感がなお強いことは、米株相場の重荷となった。
ダウ平均の構成銘柄では14日発表の2025年1〜3月期決算で1株利益などが市場予想を上回ったゴールドマン・サックスが買われた。アムジェンやトラベラーズ、ウォルマートも高い。半面、ユナイテッドヘルス・グループやアマゾン・ドット・コムは売られた。今後4年間で最大5000億ドル相当の人工知能(AI)インフラを米国で生産する計画を発表したエヌビディアは小幅に下げて終えた。
ナスダック総合株価指数は続伸した。前週末比107.028ポイント(0.63%)高の1万6831.484(速報値)で終えた。アルファベットやパランティア・テクノロジーズが買われた。

14日のシカゴ日経平均先物は上昇した。6月物は前週末比645円高の3万4295円で終えた。この日はトランプ米政権が相互関税の対象から一部製品を除外したのを受けて日米で株式相場が上昇し、シカゴ市場の日経平均先物にも買いが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
34295 ( +125 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
34410 ( +240 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
14日の英FTSE100種総合株価指数は3日続伸し、前週末比170.16ポイント(2.13%)高の8134.34で終えた。トランプ米政権が11日、相互関税の対象からスマートフォンなど電子関連製品を除外した。分野別関税の対象になるとされるものの、市場の警戒感がひとまず和らいだ。
英HSBCホールディングスやバークレイズなど銀行が上昇したほか、英BPといったエネルギーも買われた。航空機エンジン大手ロールス・ロイス・ホールディングスをはじめとする資本財やヘルスケア関連、資源、消費関連と幅広い業種・銘柄に買いが広がった。FTSE100種指数を構成する銘柄のうち、英ロンドン証券取引所グループ(LSEG)を除く99銘柄が上昇した。
FTSEの構成銘柄では、投資会社メルローズ・インダストリーズが5.53%高、保険会社セント・ジェームズ・プレイスが4.93%高、金融大手スタンダード・チャータードが4.92%高と相場をけん引。一方、ロンドン証券取引所は0.81%安と唯一下げた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
14日のドイツ株価指数(DAX)は反発し、前週末比580.73ポイント(2.85%)高の2万0954.83で終えた。トランプ米政権が、スマートフォンなど電子関連製品を相互関税の対象から除外する措置を決めたことを受け、米関税政策を巡る投資家の警戒感がやや和らいだ。前週末に上昇した米株式相場が14日に続伸して始まったのも、投資家心理を支えた。
DAXは4月に入って以降、水準を大きく切り下げているため、値ごろ感からの買いも入りやすかった。
DAXは4月に入って以降、水準を大きく切り下げているため、値ごろ感からの買いも入りやすかった。
個別では、防衛大手ラインメタルが5.84%高、エネルギー大手シーメンス・エナジーが5.81%高、ドイツ銀行が5.23%高と大きく買われた半面、日用品大手ヘンケルのみが0.72%安とマイナス圏で引けた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は反発し、前週末比2.36%高で終えた。