3日続落240ドル安、米物価指標待ち
【市況】3日続落240ドル安、米物価指標待ち |
9日のNYダウ工業株30種平均は3日続落し、前週末比240ドル59セント(0.53%)安の4万4401ドル93セントで終えた。
11日に発表される米消費者物価指数(CPI)は、今月に連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを行うかどうかを占う上で注視され、市場ではこの日、様子見姿勢が広がった。年末に向け、金融や半導体などこれまで値上がりしてきた銘柄を手放す動きが優勢となった。
前週末発表の11月の米雇用統計が市場予想の範囲内にとどまり、市場では米連邦準備理事会(FRB)が17〜18日に開くFOMCで利下げを継続するとの観測が強まっている。ただ、インフレ圧力が想定以上に強まった場合にはFRBが利下げを見送る可能性が指摘されている。
また、中国当局が独占禁止法違反の疑いで調査を始めた米半導体大手エヌビディアが売られ、ダウ平均、ナスダックともに下押しした。一方、中国共産党が金融緩和を拡充する方向性を打ち出したことを受け、米建設機械大手キャタピラーなど中国事業の割合が高い銘柄に買いが入った。中国景気への期待から原油価格が上昇し、米シェブロンなどエネルギー株も値上がりした。
ダウ平均の構成銘柄ではないが、アナリストが投資判断を引き下げたアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)も大幅安だった。米大統領選の後から上昇が続いていたテスラなども買い先行後に下げに転じた。
ダウ平均ではトラベラーズやIBM、セールスフォースなどが下げた。一方、ユナイテッドヘルス・グループやボーイング、アムジェンが上昇した。
ナスダック総合株価指数は反落し、前週末比123.084ポイント(0.61%)安の1万9736.690(速報値)で終えた。メタプラットフォームズやネットフリックスが安い。前週末にかけて上昇の勢いが目立っていたビッグデータ分析のパランティア・テクノロジーズも売られた。
【シカゴ日本株先物概況】
9日のシカゴ日経平均先物は小幅に下落した。12月物は前週末比15円安の3万9320円で終えた。
NYダウ平均は、米物価指標の発表を週内に控える中で利益確定の売りが先行し、3営業日続落した。
この日は持ち高調整を目的とした売りに押されて米株式相場が下落しており、シカゴ市場の日経平均先物にも売りがやや優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
39320 ( +110 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
39315 ( +105 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
9日の英FTSE100種総合株価指数は反発し、前週末比43.47ポイント(0.52%)高の8352.08で終えた。中国でより積極的な財政政策が実施されるとの報道を受けてエネルギーや資源株が上昇し、指数を支えた。
FTSEの構成銘柄では、住宅大手ビストリー・グループが6.05%高、産銅大手アントファガスタが4.91%高、産金大手フレスニロが4.65%高と相場をけん引した。一方、一部金融機関が目標株価を引き下げたと伝わったホテル大手ウィットブレッドは2.58%安、航空・防衛大手BAEシステムズは2.48%安、インターコンチネンタル・ホテルズ・グループは2.41%安と下げた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
9日のドイツ株価指数(DAX)は8日ぶりに反落し、前週末比38.65ポイント(0.18%)安の2万0345.96で終えた。独ラインメタルの下げが目立つなど航空・防衛関連の一角が下落し、指数の重荷となった。DAXは前週末まで最高値を更新し続けていたため、目先の利益を確定する目的の売りも出やすかった。
航空・防衛関連の下げは米国のトランプ次期大統領が、ウクライナとロシアは即時停戦し交渉を始めるべきだとの認識を示したと伝わったのが材料になったとの声が聞かれた。不動産大手ボノビアや、銀行や保険といった金融が下げた。他方、独メルセデス・ベンツグループをはじめ自動車関連は上昇した。
個別では、防衛大手ラインメタルが5.95%安と急落し、不動産大手ボノビアが3.47%安、通信大手ドイツテレコムが2.12%安で続いた。半面、自動車大手メルセデス・ベンツは3.24%高、高級車メーカーのポルシェは2.90%高、化学大手BASFは2.66%高と買われた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は8日続伸し、前週末比0.71%高の7480.14と10月29日以来の高値で終えた。中国でより積極的な財政政策が実施されるとの期待から高級ブランドのLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンや仏ケリングといった消費関連が上昇し、相場をけん引した。ソシエテ・ジェネラルなど金融も上げた。タレス、サフランといった航空・防衛関連は売りが優勢だった。