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続落 一時600円安 イスラエルのイラン攻撃で心理悪化
東京株式(前引け)=続落 一時600円安 イスラエルのイラン攻撃で心理悪化
 

13日午前の日経平均株価は続落し、午前終値は前日比507円16銭(1.33%)安の3万7665円93銭だった。
 
この日の東京株式市場は為替の円高が進行していたことに加え、米国の関税政策の不透明感から売り先行でスタート。特に午前9時過ぎに、「イスラエル軍がイランで攻撃を実施した」との報道が流れると一気に売りが膨らんだ。
リスク回避姿勢が強まるなか、為替相場は一時1ドル=142円台後半に円高が進行。半導体関連などハイテク株が売られた。トランプ米大統領が、自動車関税を引き上げる可能性を示唆したことも警戒された自動車株が安い。半面、防衛関連株が買われ、原油価格の上昇を受け石油関連株が値を上げた。日経平均株価は午前10時過ぎに一時600円を超す下落となったが、売り一巡後はやや下げ渋った。なお、日経平均先物と株価指数オプションの6月限の特別清算指数(SQ)値は3万8172円67銭だったとみられている。
 
イスラエル軍は13日、イラン各地の核関連施設を含む数十カ所の軍事目標への第1段階の攻撃を完了したと発表した。同軍は作戦は今後も続くと表明した。イスラエルのカッツ国防相は同日、イランに先制攻撃を加えたとしたうえで、イスラエルに対する攻撃が予想されるとして全土に非常事態を宣言した。イランは世界の石油供給の約2割が通過するホルムズ海峡に大きな影響力を持ち、中東情勢が悪化すれば世界経済が混乱しかねないとして投資家心理を冷え込ませている。
 
米国とイランは核問題に関する協議を続けており、15日には6回目の高官協議が予定される。ただ、イラン国内でのウラン濃縮活動の是非を巡って、両国の間に隔たりがあり、協議が停滞している。ルビオ米国務長官は今回のイスラエルによる攻撃について「イスラエルが単独行動をとった。米国はイランへの攻撃に関与していない」と声明で記した。
 
市場関係者は「米国がイスラエルを制御できなくなりつつあるとも受け取れ、中東情勢が一段と緊迫化するとの警戒感につながった」と話した。そのうえで「イランが原油関連で報復措置をとれば、原油価格がさらに上昇し、世界でインフレが加速する可能性がある」とみていた。
 
トランプ米政権が掲げる関税政策の不透明感が意識されたことも相場の重荷だった。トランプ大統領は12日、輸入自動車にかける追加関税を「遠くない将来に引き上げるかもしれない」と述べた。現在の税率は4月に発動した25%だが、引き上げ幅や実施時期については語らなかった。日本は米国に対して追加関税の「全面免除」を求めているが、自動車産業の存在感が大きいだけに、日本はより厳しい交渉を強いられる恐れがある。
 
後場の日経平均は軟調な展開になりそうだ。中東情勢緊迫化による地政学リスクの上昇を受けて買い手に乏しい状況が続こう。また、週末要因もある中、円高進行やトランプ米大統領が自動車関税の引き上げの可能性に言及したことは引き続き投資家心理の重石となろう。買い材料に乏しい中で、指数は下げ幅を広げる展開になるか注目しておきたい。



 
 
東証株価指数(TOPIX)は続落した。前引けは35.01ポイント(1.26%)安の2747.96だった。JPXプライム150指数も続落した。
 
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で3兆830億円、売買高は11億9579万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1356。値上がりは233、横ばいは40だった。
 
業種別では、繊維製品、空運業、電気機器が下落した一方で、鉱業、石油・石炭製品、海運業が上昇した。
 
個別では、日本航空やANAホールディングスなどの空運株、三菱UFJや三井住友などの金融株が軟調に推移した。また、レーザーテック、ソニーグループ、任天堂、トヨタ自動車、東京エレクトロン、ファーストリテ、リクルートHDなどが下落した。そのほか、好決算を発表も目先の出尽くし感が先行したMacbeePが大幅安、ダブル・スコープ、ラクーンホールディングス、ラクスルなどが値下がり率上位となった。
 
一方、郵日本船や川崎汽船などの海運株が堅調に推移。川崎重工業や三菱重工業、IHI、ソフトバンクグループ(SBG)、アドバンテスト、ネクソン、バンナムHDが買われた。原油高を受け、INPEXや出光興産などエネルギー関連株が上昇した。ほか、通期業績上方修正で営業益2ケタ増となるビジョナルが急騰、鎌倉新書、gumi、滋賀銀行などが値上がり率上位となった。

 
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