NYダウ313ドル安、米中交渉への期待
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【市況】NYダウ313ドル安、米中交渉への期待 |
8日のNYダウ工業株30種平均は米中貿易摩擦激化への懸念から前日比313ドル98セント安の2万6164ドル04セントと大幅続落した。
米商務省は7日、中国がイスラム教少数民族ウイグル族らを弾圧しているとして、監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)や新疆ウイグル自治区当局など28団体・企業への輸出を原則禁止すると発表した。これを受けて中国外務省は「内政干渉」(耿爽副報道局長)だと反発。10日にワシントンで始まる両国の閣僚級貿易協議への影響を懸念し、この日のダウは200ドル余り下げて始まった。
建機のキャタピラーや工業製品・事務用品のスリーエム(3M)など中国関連とされる銘柄中心に売りが膨らんだ。
また、国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は8日、米中貿易摩擦を受けて「世界経済は同時減速している」と警告した上で、来週公表する最新見通しで今年の世界成長率が3.2%から下方修正されると明言。世界景気の先行きへの警戒感も株価を下押しした。
ダウ平均は下げ幅を100ドル未満に縮める場面があった。8日の講演で、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が「バランスシートの拡大政策を近く始める」と表明した。短期金利の乱高下を防ぐことが目的だが、市場の金融緩和観測を強めた。カネ余りによる「過剰流動性相場」への期待から、買いが優勢になった。
セクター別では全面安となり、特に半導体・半導体製造装置や自動車・自動車部品の下落が目立った。
ナスダック総合株価指数は前日比132.516ポイント安の7823.778と続落した。
NYダウ工業株30種(ドル)
26,164.04−313.98
S&P500種
2,893.06−45.73
ナスダック
7,823.778−132.516
NY金(ドル/トロイオンス)
1,503.90−0.50
NY原油(ドル/バレル)
52.54−0.09
円・ドル
107.05 - 107.06−0.10

シカゴ日経平均先物は続落した。12月物は前日比150円安の2万1335円で引け、8日の大取終値を285円下回った。
米中貿易協議が難航するとの警戒感から日経平均先物は売られた。米政権は8日、中国政府高官や中国共産党幹部への査証(ビザ)発給の制限を発表した。7日に中国企業に対する新たな禁輸措置を発表しており、米政権の対中強硬姿勢が強まった。
この日の12月物安値は2万1320円、高値は2万1630円。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
21335 ( -285 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
21355 ( -265 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7143.15(-54.73)
FTSE100種総合株価指数は3営業日ぶりに反落した。前日の終値に比べ54.73ポイント安の7143.15で引けた。
米中の閣僚級貿易協議を10日に控え、投資家のリスク回避姿勢が強まり、株価は軟調だった。米国が中国企業を人権問題で「ブラックリスト」に登録すると伝えられたことがきっかけだった。英国の欧州連合(EU)離脱の再交渉が事実上決裂したことも、株価の上値を抑えた。ポンドが急落し、外需関連株には追い風となったが、全体の支援材料にはつながらなかった。構成銘柄の約8割が下落した。
個別銘柄では、ロンドン証券取引所(LSE)は8日に香港取引所が買収を断念したと発表したことで売りが膨らんだ。下げ幅は5%を超えた。英国の欧州連合(EU)からの離脱を巡る先行き不透明感による国内経済への悪影響が懸念され、銀行株やスーパーマーケットなどの小売株、住宅建設株といった内需株が軒並み下落した。
一方で投資家のリスク回避姿勢の高まりから、産金・産銀会社ポリメタル・インターナショナルは2.8%高、産金大手フレスニーヨも2.1%高と高くなった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11970.20(-127.23)
ドイツ株式指数(DAX)は大幅に反落した。終値は前日と比べて127.23ポイント安の11970.20だった。
10日に始まる米中貿易協議の進展期待が後退し、米株式相場が大幅下落した流れが欧州市場にも波及した。構成銘柄の8割が下落した。
個別銘柄では、買いが先行していたオンライン決済サービスのワイヤーカードが大幅安に転じた。長期の業績見通しを引き上げたことで上昇していたが、一部アナリストに懐疑的な見方が出た。半導体のインフィニオンテクノロジーズの下げも目立った。
一方では、医薬・農薬大手のバイエルや自動車のVW(フォルクスワーゲン)など5銘柄が小幅上昇した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5456.62(-64.99)