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英明コラム 10月第1週 マーケットストラテジーメモ
「英明コラム 10月第1週 マーケットストラテジーメモ」


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《マーケットストラテジーメモ》10月1週
 
【推移】
 
30日(月):
週末のNY株式市場は続落。トランプ政権が米証券取引所に上場する中国株の廃止を検討していると報道。米中貿易摩擦が激化するとの懸念が高まったと解釈された。
ただ具体的にどのように中国株を上場廃止にするのかは不明。 今年2月時点でNYSEおよびNASDAQ市場に上場する中国企業の数は156社。うち最低11社が中国国有企業だ。「米国で販売される証券はすべて米証券法に従う必要がある。当たり前すぎる」という指摘もある。S&P500が50日移動平均線を一時下回ったことも悪材料視された。週間では主要3指数は下落。
 
日経平均株価は123円安の21755円と続落。米国の対中投資制限や米中貿易摩擦への警戒で投資家心理が悪化。香港の大規模デモも発生。景気敏感株を中心に利益確定を目的とした売りが出た。「日経平均構成銘柄の入れ替えで、指数連動で運用する投資家から採用銘柄全体に売り圧力がかかる」という見方もあったが大引けにかけて下落幅は縮小した。東証1部の売買代金は2兆3371億円。塩野義、バンナムが上昇。ソフトバンク、資生堂が下落。
 
1日(火):
週明け月末のNY株式は主要3指数そろって反発。「米国市場に上場している中国企業の上場廃止を米政権が検討している」との先週の報道を米財務省広報官が否定。ナバロ米大統領補佐官は「報道の内容の半分以上がフェイクニュース」と指摘。「投資家心理が改善し買いが膨らんだ」との解釈だ。
中国政府高官が米中の閣僚級協議を10月第2週に開くとコメント。協議進展への期待が強まったことも買い安心感につながったという。月末や期末で機関投資家が運用成績を良くみせる「お化粧買い」を入れたとの指摘もあるが真偽は定かでない。
 
日経平均株価は1129円高の21185円と3日ぶりの反発。日足は4日ぶりの陽線。後場は動意に乏しい展開で値幅は約40円。米中貿易交渉の進展期待と円安トレンドが追い風。自社株買い観測もあった。
東証一部の売買代金は1兆9974億円。9月9日以来の2兆円割れ。SBG、TDKが上昇。ファーストリテ、第一三共が下落。前日の下落幅123円を埋めたから、あとは9月権利落ち分160円を埋めれば良いところまできた。型としては終値(21885円)が5日線(21917円)と24カ月線(21938円)に頭を抑えられた格好。
日銀短観は大企業製造業の業況判断DIがプラス5と3四半期連続の悪化。ただ設備投資は底堅く売り材料にはならなかった。10月第1営業日は5年連続高。火曜は7週連続高。
 
2日(水):
週明け月初のNY株式で主要指数は大幅反落。NYダウは340ドル超の下落となった。S&P500の下落率は約1カ月ぶりの大きさ。背景はISM製造業景況感の悪化。10年国債利回りは1.63%、2年国債利回りは1.54%とそれぞれ低下。FRBが10月に利下げする確率は62.5%と前日の39.6%から大幅に上昇した。「1年ぶりの低水準となる1.43%がターゲットになる」という予想もある。
 
冴えない日銀短観で108円台まで売られたドル円は冴えないISMの結果で107円台後半まで戻した。
日経平均株価は106円安の21778円と反落。NY株の下落を受けて売り物優勢だったが下げ渋り。下落幅は一時160円を超えた場面もあったが日中値幅は70円程度だった。東証一部の売買代金は2兆872億円。ドコモ、JR東が上昇。安川、ファナックが下落。
 
3日(木):
NY株式市場は大幅続落。主要株価3指数は軒並み1日としては約6週間ぶりの大幅な下落となった。S&P500とNYダウは約1カ月ぶりに100日移動平均線を下回った。S&P500は足元では最高値から約5%下落した水準。底流にあるのはISM非製造業景況感の悪化。航空機への補助金を巡る米国とEUとの対立に関してWTO米国が75億ドル相当の欧州製品に輸入関税をかけることを承認。通商懸念を深めた格好との解釈。
 
またADP全米雇用レポートで民間部門雇用者数は13.5万人増で着地。市場予想の14万人増を下回ったことも悪材料視。週末の雇用統計への警戒感につながった格好だ。下落要因は「思惑→実態悪認識」と移行してきた。
 
日経平均株価は436円安の2141円と大幅続落。世界的景気後退懸念に加えて1ドル106円台の円高傾向が嫌気された。東証一部の売買代金は2兆704億円。NEC、DeNAが上昇、トヨタ、SBGが下落。
 
4日(金):
NY株式市場で主要3指数はそろって3日ぶりの反発。ISM非製造業総合指数(NMI)は52.6と市場予想の55.0を下回って着地。2016年8月以来3年ぶりの低水準となった。ISM製造業景況感の悪化と同様に嫌気されNYダウは一時200ドル程度下落した。
 
ただ過去2日間合計で一時は1000ドルの下落となっていたこともあり反発。「通商問題の影響が経済の広範な分野に波及している可能性」から利下げ観測が高まったことが背景。10月のFOMCで利下げ確率は40%から90%に上昇した。
 
日経平均株価は68円高の21410円と3日ぶりに反発。朝方は売り物優勢の展開だったが後場に切り返した。日銀によるETF買い入れ観測が浮上。「米9月雇用統計の発表を前に短期筋が先物の買い戻しに動いたとみられる。米利下げ観測で円高が警戒されるが、それも限定的だろう」という見方だ。東証1部の売買代金は1兆8219億円。京セラ、平和不が上昇。ファーストリテ、みずほが下落。「投資の日の株高アノマリー」は実現した。
 
(2) 欧米動向
 
やってくれたのはISM製造業景況感。
47.8と前月の49.1から悪化し2009年6月以来の低水準。
「米中貿易摩擦が企業業況感を悪化させ第3四半期に米景気が急速に減速した可能性に懸念が強まった」との解釈だ。
同指数は6カ月連続で低下。
景気拡大・縮小の節目となる50を下回るのは2カ月連続。
市場予想は50.1だった。
製造は米経済の約11%を占めている。
ISM指数が42.9を下回るとリセッションのシグナルと見なされるという。
「悪い数字で世界の製造業不況に並ぶ内容だ。
市場が懸念するのは正しいだろう。
ただ少なくとも4日の雇用統計を確認したい」と言う声もある。
 
(3)アジア・新興国動向
 
10月10日、11日に中国の劉鶴副首相が訪米。
米中の閣僚 級貿易協議が開催予定。
 
先週の世界の株式相場は主25の株価指数のうち2指数が上昇。
上位1位メキシコ週間騰落率1.31%、2位台湾0.60%、3位香港▲0.52%、
4位米国▲0.92%、5位中国▲0.92%、6位ベトナム▲1.03%。
下位25位英国▲3.65%、24位ポーランド▲2.98%、23位ドイツ▲2.96%、
22位インド▲2.96%、13位日本▲2.14%。
 
【展望】
 
スケジュールを見てみると・・・
 
7日(月):景気動向指数、米消費者信用残高、ノーベル医学生理学賞
8日(火):家計調査、景気ウォッチャー調査、国際収支、米生産者物価、ノーベル物理学賞
9日(水):FOMC議事録、ノーベル化学賞
10日(木):機械受注、企業物価指数、都心オフィス空室率、米消費者物価、ノーベル文学賞、朝鮮労働党創建記念日
11日(金):マネーストック、オプションSQ、米輸出入物価、ミシガン大学消費者信頼感、ノーベル平和賞
 
 
【10月】(8勝6敗で6位、陽線確率は57.1%)
 
7日(月)変化日
8日(火)下げの日
9日(水)ECB理事会
11日(金)SQ、大幅高の日
14日(月)体育の日で休場、満月、大幅高の日
15日(火)家電IT見本市「シーテックジャパン」(幕張)、変化日
16日(水)上げの特異日
17日(木)EU首脳会議(ブリュッセル)
18日(金)IMF・世銀年次総会(ワシントン)、鬼宿日
19日(土)プロ野球日本シリーズ開幕
20日(日)スイス総選挙
21日(月)カナダ総選挙
22日(火)即位礼正殿の儀
24日(木)東京モーターショー(ビッグサイト)、ECB理事会
25日(金)変化日
26日(土)バニラエア運行終了
27日(日)アルゼンチン大統領選挙、ウルグアイ大統領選挙
28日(月)新月
29日(火)変化日、FOMC
30日(水)日銀金融政策決定会合、米GDP速報値
31日(木)ECBのドラギ総裁任期満了、ユーロ圏GDP速報値
 
 
10月のアノマリー。

9月のドレッシング買いの建て玉が解消。
9月に高まったボラティリティが継続。
11月末に海外企業の決算。決算前に、ヘッジファンド顧客の解約が相次ぐ。
ヘッジファンドのポジション縮小。利益確定で売り。
11月にかけて、企業の決算発表が本格化。好業績で買い。低迷で売り。
「10月効果」=「ハロウィン効果」=10月に底値をつけやすい。
ただ10月ではなく9月に騰落率が大きくマイナスとなっているから実際には9月末に買うのが良かったということになる。
10月はV字型の展開。


(兜町カタリスト 櫻井英明)
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