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英明コラム 6月第1週 マーケットストラテジーメモ
「英明コラム 6月第1週 マーケットストラテジーメモ」


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《マーケットストラテジーメモ》6月1週

【推移】 

3日(月):週末のNY株式市場は大幅安。トランプ米大統領は「メキシコ国境からの不法移民流入に同国が十分に対応していない。6月10日以降メキシコからの輸入品すべてに5%の関税を課し、移民の流入が止まるまで関税率を段階的に引き上げる」と表明。「貿易戦争がリセッションにつながる」との懸念が拡大した。 S&P500とNASDAQは3月8日以来となる200日移動平均線割れ。週間ではNYダウが3.01%、S&P500が2.62%、NASDAQが2.41%安。ダウは6週連続安で2011年以降で最長。月間ではNYダウが6.69%、S&P500が6.58%、NASDAQが7.93%安。いずれも月間では年初来で初の下落となった。3日新甫の6月初日。日経平均株価は190円安の20410円88銭と4日続落。4日間の下落幅は約850円。シカゴ225先物安値の20380円。25日線からマイナス5%かい離20389円。2月8日ザラバ安値20315円を一応キープした格好だ。TOPIXは今年1月4日の大発会以来の1500ポイント割れ。新高値11銘柄。新安値474銘柄。ファーストリテ、コロプラ、オプティムが上昇。ソフトバンクG、任天堂、ファナックが下落。
 
4日(火):
週明けのNY株式市場はマチマチの動き。NYダウは一時134ドル安と3ケタの下落。1月29日以来4カ月ぶりの安値圏に沈む場面もあった。ただ終値は4ドル高と小幅反発。5月のNYダウは月間で1777ドル(7%)安だったがダウケミカルやシェブロンなど最近の下げが大きかった銘柄も買われた。NASDAQは120ポイント安と大幅続落しほぼ3カ月半ぶりの安値水準。5月3日に付けた過去最高値からの下落率は1割を超え調整局面入りとの声も聞こえる。日経平均株価は2円安の20408円と小幅に5日続落。東エレ、ファナックが上昇。ソフトバンクG、リクルートが下落。日経平均の5日続落の理由はソフトバンクの今年初の5日続落。1銘柄で日経平均のマイナス寄与度は35円だった。昨年12月18日→29日の6日続落以来の記録。「2000年以降のラマダン期間中のTOPIXは7勝11敗と負け越し。平均騰落率は▲3.3%」と市場関係者。「ラマダン明けに期待」という声もある。日銀は5日連続でETFを705億円購入。
 
5日(水):
米国株式市場は急反発。主要株価3指数はそろって5カ月ぶりの大幅高となった。パウエルFRB議長が利下げの可能性への言及。中国商務省は「通商問題を巡る米国との見解の違いは対話と交渉で解決すべき」とコメント。対話相手の米国側の反応はないが、市場心理は改善した。
メキシコのロペスオブラドール大統領が米国との移民問題について「6月10日より前に米国と合意が得られる」という見通しを示したことも好材料。結局、このタイミングでの下落継続を嫌った市場心理が綾なした好意的解釈の積み重ねでの大幅高。前日に調整局面入りが確認されたはずのNASDAQはアップルとマイクロソフトを中心に反発。
2017年9月以来の低水準利回りの2.06%台だった10年国債利回りは2.12%台に上昇(価格は下落)。
 
日経平均株価は367円高の20776円と6日ぶりの反発。SBG、第一三共が上昇。ファストリテ、花王が下落。前日は「日に日に株式相場の大幅反発を描きにくくなっている」というコメントが見られたが逆の動きとなった。今年の水曜は11勝10敗と勝ち越し。
 
6日(木):
米国株式市場は続伸。NYダウは200ドル超の上昇でほぼ終値が高値圏。ADP全米雇用レポートで民間部門雇用者数は2万7000人増で着地。2010年3月以来9年2カ月ぶりの小幅な伸びにとどまった。
市場予想18万人増を大きく下回っての着地。通常は経済指標の低下は悪材料。だが景気の悪化が利下げ観測につながっての株高という解釈。
どこかが間違っているが、短期的思考では「是」なのだろう。次の課題は金曜の雇用統計だ。世界的金利低下の中で10年国債利回りは2.1%台で推移。「世界の成長鈍化は最終的にドル押し上げにつながる」という指摘も出始めた。
 
日経平均株価は2円0安の20774円と小幅反落。後場はプラス圏で推移していたが、14時半過ぎに上昇幅を縮小しマイ転。前日大幅高の反動もあり大引けにかけて利益確定売りに押されたとの解釈。日中値幅は96円で令和に入って最小。
東証1部の売買代金は1兆8427億円と2兆円割れ。楽天、テルモが上昇。日産、村田が下落。結局木曜は令和5連敗で今年5勝15敗。「木曜の悪魔の呪縛」からは逃れられなかった。
 
 
7日(金):
NY株式市場は続伸。主要3指数が3日続伸(NYダウは4日続伸)したのは5月半ば以来のこと。「米国がメキシコからの輸入品への関税適用を先送りすることを検討している」との出所不明の報道を好感。「最終的に米国とメキシコが合意に達し米中通商合意もまとまるまで安心できない」という見方もある。
 
新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比横ばいの21万8000件。市場予想は21万5000件だった。またECBは少なくとも来年半ばまで金利を据え置く方針を明らかにした。
 
日経平均株価は110円高の20884円と反発。NY株高を好感して上昇は後場も継続。夜の雇用統計をにらみながらも後場の売りはなかった。週足は陽線。東証一部の売買代金は1兆6359億円と薄商い。日立ハイテク、東エレが上昇。ガンホーが下落。
 
 
(2) 欧米動向
 
世界銀行は4日改定した世界経済見通しで2019年の世界全体の成長率を2.6%と1月時点から0.3ポイント下方修正。
見通しの引き下げ幅は3年ぶりの大きさ。
貿易戦争の激化で、先行きについても「リスクは明確に下振れ方向にある」と指摘した。
19年の世界の貿易量は前年比2.6%増と1月時点から1.0ポイント引き下げ。
背景は米中貿易摩擦の激化や資本財の需要鈍化が想定以上に強く進んだため。
18年(4.1%)から大幅に減速。
リーマンショック以降でもっとも弱い伸び率となる。
中国は大型の経済対策による押し上げ効果で相殺された面もあるとの解釈。
19年の成長率は6.2%と1月時点から据え置き。
米国も2.5%で横ばい。
低下が目立ったのはユーロ圏で従来の2.2%から1.8%に引き下げた。
日本は同0.1ポイント低い0.8%。
20年の世界全体の成長率は2.7%と小幅な改善見通し。
 
(3)アジア・新興国動向
 
先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち19指数が上昇。
 
上位1位南アフリカ週間騰落率4.82%、2位米国4.71%、3位トルコ3.55%、
4位ロシア3.02%、5位フランス3.00%、14位日本1.38%。
下位24位中国▲2.45%、23位台湾▲0.85%、22位インド▲0.25%、
21位ベトナム▲0.17%、20位マレーシア▲0.09%。
 
【展望】
 
スケジュールを見てみると・・・
 
10日(月):1?3月期GDP改定値、景気ウォッチャー調査、中国貿易収支
11日(火):マネーストック、工作機械受注、米生産者物価、ゲーム最大のイベント「E3」開幕(→13日)
12日(水):企業物価指数、機械受注、米財政収支、中国生産者・消費者物価
13日(木):法人企業統計調査、都心オフィス空室率、第3次産業活動指数、米輸出入物価
14日(金):メジャーSQ、米小売り売上高、鉱工業生産、ミシガン大学消費者信頼感、企業在庫、中国鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資
 
 
イスラム圏でラマダン明け→FRBが金融政策運営の見直しに向けての会議(→5日シカゴ)プラス天安門事件から30周年通過。
このスケジュールの消化が株安株高の流れだったというのは後講釈。
裁定売り残と信用売り残高を東証1部の時価総額で割った値(26週平均)はアベノミクス相場以降のピークに近づいている。
「そろそろ息切れしても不思議でない」という声もある。


(兜町カタリスト 櫻井英明)
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