NYダウ反発161ドル高、イランめぐる警戒感後退
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【市況】NYダウ反発161ドル高、イランめぐる警戒感後退 |
8日のNYダウ工業株30種平均は前日比161ドル41セント高の2万8745ドル09セントは反発で終えた。
7日夕に起きたイランによるイラク駐留米軍基地への弾道ミサイル発射を受けて、市場ではリスク回避の動きが急拡大。同日の夜間取引では株先物が急落した。ただ、イランのザリフ外相はツイッターで「緊張激化や戦争を望んでいない」と投稿。トランプ米大統領も「現時点で順調だ」などと投稿したことから、市場に安心感が広がった。
さらに、トランプ氏が8日の演説で、「軍事力を行使したくはない」と、イランへの報復攻撃に否定的な考えを表明。買い安心感が広がり、前日終値近くでもみ合いとなっていたダウは、一時約282ドル高まで上げ幅を拡大した。ハイテク株がこの日の相場をけん引した。
日系証券関係者は「イラン問題は根深く、すぐに好転するような話ではないが、米中関係に比べれば米経済への影響は小さい」と指摘。イラン情勢をめぐり最悪の事態がひとまず回避されたことで、市場ではリスク選好ムードが復活した。
また、良好な米景気を示す経済指標も株高を支えた。米民間雇用サービス会社ADPが8日に発表した2019年12月の全米雇用リポートでは、非農業部門の雇用者数が前月から20万2000人増え市場予想(15万人程度増)を大幅に上回った。10日に米労働省が発表する12月の米雇用統計でも強い伸びがみられるとの見方につながった。
個別銘柄ではスマートフォンのアップルが上場来高値を更新。8日にアプリ配信サービス「アップストア」の年末販売が好調だったと発表した。ほかにもソフトウエアのマイクロソフトなど業績期待が高いハイテク株が上げた。
米債券市場では相対的に安全資産とされる米国債が売られ米長期金利が上昇し、利ざやが改善するとの見方から金融のゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースも買われた。
半面、航空機のボーイングが2%近く下落してダウ平均の重荷となった。前日にイランで同社の「737-800」が墜落したのが嫌気された。原油先物相場の下落を受け、石油のエクソンモービルやシェブロンも売られた。8日に発表した19年9〜11月期決算が大幅な減益となったドラッグストアのウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスは6%近く下げ、ダウ平均を押し下げた。
セクター別ではソフトウェア・サービスやテクノロジー・ハード・機器が上昇する一方で、エネルギーや食品・生活必需品小売が軟調。
ナスダック総合株価指数は前日比60.661ポイント高の9129.242と、2日以来ほぼ1週間ぶりに過去最高値を更新した。
NYダウ工業株30種(ドル)
28,745.09+161.41
S&P500種
3,253.05+15.87
ナスダック
9,129.242+60.661
NY金(ドル/トロイオンス)
1,560.20−14.10
NY原油(ドル/バレル)
59.98−2.72
円・ドル
109.08 - 109.09+0.67

8日のシカゴ日経平均先物は続伸した。
3月物は前日比170円高の2万3520円で引け、8日の大取終値は370円上回った。
トランプ米大統領が演説でイランに対する報復攻撃を否定し、中東情勢の悪化懸念が後退した。投資家心理が改善し、日経平均先物も買われた。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
23520 ( +370 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
23540 ( +390 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7574.93(+1.08)
8日のFTSE100種総合株価指数は3営業日ぶりに小反発した。前日の終値に比べ1.08ポイント高の7574.93で引けた。ただ、構成銘柄の半数以上は下落した。
この日のFT指数は序盤で7524.96と、昨年12月中旬以来約3週間ぶりの安値を付けた。その後ジリ高に転じ、正午前には7579.48の高値を付けて切り返したが、午後に入ると方向感のない取引となった。
たばこと鉱業株の上昇が株価指数を押し上げる一方で、石油と銀行株の下げが指数の上値を抑えた。
個別銘柄では、通信のBTが上昇した。英通信規制当局は8日、英国がBTへの支援などを通じてフルファイバー・ブロードバンドへの投資を加速する計画を明らかにした。航空・防衛機器のメギットは2.1%高、アナリストによる株価目標引き上げが好感され買われた。
一方、総合ヘルスケアのNMCヘルスは16%近く急落した。大株主が前日の終値を約20%下回る価格で保有株式を売却したことが響いた。スーパーマーケットのセインズベリーは、クリスマス商戦で売り上げが減少したと発表し売られた。同業のWMモリソン・スーパーマーケットは、アナリストによる株価目標引き下げなどを受けて下がった。
旅行代理店大手トゥイは4.6%安、不動産大手ブリティッシュ・ランドは2.6%安、英小売大手モリソンズは2.4%安だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13320.18(+93.35)
8日のドイツ株式指数(DAX)は続伸した。終値は前日と比べて93.35ポイント高の13320.18だった。
イランがイラク駐留の米軍基地を攻撃したことで、欧州各国とも下がって始まった。ただその後、中東情勢への過度な警戒が後退し各国とも上昇して引けた。
個別では、ドイツ銀行とアディダスの上昇が目立った。一方、下落したのは、化学のBASFとドイツテレコム、オンライン決済サービスのワイヤーカードの3銘柄だけだった
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6031.00(+18.65)