NYダウ211ドル高、イラン情勢の鎮静化を好感
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【市況】NYダウ211ドル高、イラン情勢の鎮静化を好感 |
9日のNYダウ工業株30種平均は前日比211ドル81セント(0.7%)高の2万8956ドル90セントと続伸した。2日以来となる過去最高値を更新した。
中東情勢を巡る懸念の後退や、米中の貿易協議の進展期待から買いが優勢となった。好材料が出た銘柄が個別に買われたのも相場を押し上げた。
中国商務省の高峰報道官は9日の記者会見で、劉鶴副首相が13〜15日にワシントンを訪れ、米国との貿易協議「第1段階」の合意文書に署名すると発表した。
一方、トランプ米大統領は、難航が予想される「第2段階」の交渉について、11月の大統領選まで合意を持ち越す可能性があると発言。両国の関係が当面は悪化しないとの思惑から投資家のリスク選好意欲が高まり、ハイテク株を中心に幅広い銘柄に買いが入った。
また、米軍によるイラン革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官殺害に端を発した中東情勢の緊迫化への懸念が和らいだことも相場の支援材料。トランプ大統領が前日「軍事力を行使したくはない」と述べたほか、イランの国連大使も「事態のエスカレートや戦争は追求していない」との立場を示し、市場では買い安心感が広がった。
中国での昨年12月のスマートフォンの出荷が大きく増えたと伝わったアップルが2%高となり、上場来高値を更新した。アナリストが目標株価引き上げた金融のゴールドマン・サックス、検索サイトのアルファベットも買われた。
航空機のボーイングも高い。イランで起きた小型機「737-800」の墜落事故について「イランがミサイルで撃墜した」との米当局者の分析が伝わり、同社の責任が問われないとの見方を誘った。
ダウは一時242.92ドル高の2万8988.01と、2万9000ドルの大台にあと約12ドルまで迫る場面もあった。
セクター別では、テクノロジー・ハード・機器や家庭用品・パーソナル用品が上昇する一方で、電気通信サービスや耐久消費財・アパレルが軟調。
ナスダック総合株価指数は74.184ポイント高の9203.426で終えた。アップルなど主力のハイテク株が軒並み買われた。S&P500種株価指数も21.65ポイント高の3274.70で終え、両指数とも過去最高値を更新した。
NYダウ工業株30種(ドル)
28,956.90+211.81
S&P500種
3,274.70+21.65
ナスダック
9,203.426+74.1849日 終値
NY金(ドル/トロイオンス)
1,554.30−5.90
NY原油(ドル/バレル)
59.59−0.029日 16:59
円・ドル
109.52 - 109.53+0.18

シカゴ日経平均先物は続伸した。
3月物は前日比225円高の2万3745円で引け、同限月物終値ベースで2週間ぶりの高値をつけた。9日の大取終値を45円上回った。米イランの対立激化への懸念が薄れ日経平均先物は米株とともに買われた。
15日に米中貿易協議の第1段階の合意の調印を控え、米中貿易が正常化に向かうとの期待も広がった。
この日の3月物高値は2万3775円、安値は2万3440円。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
23745 ( +45 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
23770 ( +70 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7598.12(+23.19)
9日のFTSE100種総合株価指数は続伸した。前日の終値に比べ23.19ポイント高の7598.12で引けた。構成銘柄の6割が上昇した。
米イランの軍事衝突回避を手掛かりに、株価は底堅く推移した。米国株が取引時間中の最高値を更新したことも追い風となった。
ポンド通貨安が業績改善につながるとの見方から、医薬品株や酒類のディアジオなど海外の収益比率が多い多国籍企業が高かった。銀行株と航空株も上げた。
個別銘柄では、前日に大幅下落した総合ヘルスケアのNMCヘルスが6.6%高と大幅高で引けた。アナリストが目標株価を引き上げた携帯電話サービスのボーダフォン・グループと航空機エンジンのロールス・ロイスの上げも目立った。
半面、国内景気の先行きの低迷が懸念されネット専業スーパーのオカド・グループが4.3%の大幅安や小売りのキングフィッシャーを筆頭に小売り関連株は下げた。原油相場の下落を背景に石油株は売られた。鉱業株も売りに押された。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13495.06(+174.88)
9日のドイツ株式指数(DAX)は3日続伸した。終値は前日と比べて174.88ポイント(1.31%)高の13495.06と、2018年1月下旬に付けた過去最高値に次ぎ、約2年ぶりの高値(終値ベース)となった。
中東情勢をめぐる懸念が和らいだことで9日のアジア市場が上昇し、欧州各国の主要株式市場も軒並み上昇した。ドイツ市場は朝方発表になった19年11月の独鉱工業生産が改善したことも追い風になった。
個別では、幅広い銘柄に買いが広がるなか、航空のルフトハンザや自動車株が高かった。一方、アナリストが目標株価を引き下げたオンライン決済サービスのワイヤーカードをはじめ3銘柄が下落した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6042.55(+11.55)