NYダウ117ドル安、景気減速懸念が重荷
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【市況】NYダウ117ドル安、景気減速懸念が重荷 |
12日のNYダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比117ドル72セント安の3万4378ドル34セントで終えた。
原油相場が高止まりする中、インフレ懸念が投資家心理を圧迫。今週から始まる米主要企業の7〜9月期決算発表シーズンを控え、原材料コスト上昇などが業績に与える影響が警戒された。
今週公表される米主要企業の決算、インフレ指標、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の内容を見極めたいとのムードが強まり、ダウは序盤から前日終値を挟んで方向感に乏しい値動きを維持。中盤以降は総じて軟調に推移したが、下げ幅も限られた。
その中で国際通貨基金(IMF)が世界と米国の経済成長率の予想を下方修正し、景気敏感株を中心に売りを誘った。
13日には9月の米消費者物価指数(CPI)が発表される。サプライチェーン(供給網)の混乱でインフレ懸念が強まる中、最新のデータを確認したい投資家が多い。同日午後には米連邦準備理事会(FRB)がFOMCの議事要旨(9月開催分)を公表する。同会合では年内のテーパリング(量的緩和の縮小)開始の方針を示した。今後の金融政策を占う材料になるため、議論の中身への市場の関心は高い。
インフレを背景にしたコスト高が警戒される中で、主要企業の決算発表を見極めたい投資家も多い。13日の銀行のJPモルガン・チェースを皮切りに、今週から2021年7〜9月期決算の発表が本格化する。週内にはバンク・オブ・アメリカやゴールドマン・サックスなど金融大手が発表を予定している。
重要イベントを控え、前日終値を挟んでもみ合う時間帯が多かった。その中で、IMFが12日に示した経済見通しが売りを誘った。世界経済の今年の実質成長率は5.9%と前回7月の予測から0.1ポイント引き下げた。供給制約の強まりなどを理由に挙げた。米国の成長率は前回から1.0ポイントの大幅な下方修正で6.0%とした。これを受けて景気敏感株が売られ、化学のダウや建機のキャタピラー、航空機のボーイングが下げた。
ハイテク株は顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムなど一部のソフトウエア銘柄は買われたものの、総じて売り優勢だった。12日の米長期金利は1.56%まで低下する場面があったが、インフレ観測を背景に金利先高懸念が強い。スマートフォンのアップルは1%安で終えた。ダウ平均の構成銘柄以外では検索エンジンのアルファベットが2%安。来年のDRAM価格の下落観測が伝わった半導体株も下げた銘柄が多かった。
米株は買いが優勢になる場面もあった。米指標油種のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物の期近11月物が12日、1バレル80ドル前後に下げる場面があった。11日には約7年ぶりの高値である82ドル台に乗せていた。過度なインフレ懸念が和らいだ。アナリストが投資判断を「買い」とするリポートを出したスポーツ用品のナイキも買われた。
ナスダック総合株価指数は3日続落し、前日比20.275ポイント(0.1%)安の1万4465.925で終えた。主力ハイテク株や半導体株の下げが重荷となった。一方、9月の中国出荷台数が過去最高だったと伝わった電気自動車のテスラは上昇した。
NYダウ工業株30種(ドル)
34,378.34−117.72
S&P500種
4,350.65−10.54
ナスダック
14,465.925−20.275
NY金(ドル/トロイオンス)
1,759.30+3.60
NY原油(ドル/バレル)
80.51−0.13
円・ドル
113.58 - 113.59+0.29

12日のシカゴ日経平均先物は反落した。12月物は前日比315円安の2万8160円で引け、12日の大取終値を70円上回った。NYダウは序盤から前日終値を挟んで方向感に乏しい値動きを維持。中盤以降は総じて軟調に推移したが、下げ幅も限られた。13日発表の9月の米消費者物価指数(CPI)を見極めたい向きが多い。米株が続落し、日経平均先物に売りが波及した。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
28160 ( +70 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
28195 ( +105 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7130.23(−16.62)
12日のFTSE100種総合株価指数は4営業日ぶりに反落した。前日の終値に比べ16.62ポイント安の7130.23で引けた。構成銘柄の6割近くが下落した。
英国内の人手不足や燃料価格の高騰などを背景に、景気回復の鈍化懸念が強まった。また、中国恒大集団の債務不履行懸念も上値を抑える要因となった。
資源株と金融株を中心に売りが優勢だった。前日まで上昇基調が続いたこともあり、足元の利益確定目的の売りも出やすかった。
個別銘柄では、前日上昇した主力の鉱業株と石油株の下げが目立った。保険株や銀行株も売りに押された。個別では航空大手のインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)や食品サービスのコンパス・グループが安かった。製薬大手アストラゼネカも1.2%安とさえなかった。
半面、前日下落したネット専業スーパーのオカド・グループは大幅に上昇した。スーパーマーケットのセインズベリーも連れ高した。飲料のコカ・コーラ・ヘレニック・ボトリングも買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15146.87(−52.27)
12日のドイツ株式指数(DAX)は3日続落した。終値は前日と比べて52.27ポイント(0.3%)安の1万5146.87だった。
12日朝に欧州経済研究センター(ZEW)が発表した10月の独景気予測指数が市場予想を下回り、投資家心理の重荷になった。インフレ懸念も根強く下落圧力になっている。
個別では航空エンジン大手のMTUエアロ・エンジンズが続落し、安かった。前日に上昇した自動車のフォルクスワーゲン(VW)とダイムラーも下落した。シーメンス・エナジーや電力株は上げた。医薬・化学大手の独メルクと医療機器のザルトリウスは買い戻された。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6548.11(−22.43)