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「似ている」
「似ている」
「似ている」

市場関係者からのメール。
こんな歴史もあるが繰り返して欲しいもの。
ちなみにヒジュラ暦の新年は9月11日だ。

メールを頂きました。
<日経平均の日足。昨年8月の足と双子のように似ていますね>
確かに、見てみると、そっくり。
去年の8月は下落相場。
9月1日にかけて戻したけど、結局、25日線は上向き転換できず。
9月8日に向けて大きく突っ込みましたが、そこから上昇相場に転換しました。

ちなみにちょうど1年前に書いていたこと。

NY株式市場は反落。
「メキシコ国境沿いに壁を建設するための予算を確保できなければ政府機関閉鎖も辞さない」。
このトランプ大統領のコメントを嫌気したとの解釈。
ライアン下院議長は「閉鎖は必要ない」とコメントし下落幅は縮小した。
10月半ばまでに引き上げる必要がある連邦債務上限引き上げの問題がクローズアップされた格好。
それにしても市場マインドの低いコメント翻弄されたという印象だ。
VIX(恐怖)指数は4日ぶりに上昇した。
3市場の売買高は約50億株と低調。
米国債は安全資産としての側面から買われ10年国債利回りは前日の2.22%から2.17%に低下。
トランプ発言を受けてドルは下落。
「カナダ、メキシコによるNAFTA再交渉では深い溝が埋まらず、同協定を破棄する可能性がある」。
このトランプコメントも効いた格好。
ユーロは、ドイツとフランスの8月総合購買担当者景気指数が強い数字となったことから上昇。


後場に下値を試したものの19400円割れ手前で下げ止まりだった水曜。
一応日経平均の6日続落は免れた格好。
「ドラギ・イエレン両氏が出席するジャクソンホール会合での発言が欧米株の急落を招くとは考えにくい」。
そんな声も聞こえる。
それにしても200ドル近いNYダウの急上昇を受けた割には尻すぼみ。
寄りが高値でじり貧の展開は「典型的な寄り天」という声が聞こえる。
前日比50円高はこの間5日間の下落幅170円に対して13.5%の戻り。
「戻りと呼べるほど力強いものではない。中途半端な反発」だ。
それでもサイコロは3勝9敗で25%と上昇したのは皮肉だろうか。
裁定買い残は2週連続で減少。
前週比699億円減の1兆5170億円は4月21日時点以来ほぼ4カ月ぶりの水準。
売り残は4週連続で増加。
前週比637億円増の3410億円。
1月27日時点以来ほぼ7カ月ぶりの高水準となった。
225先物大証夜間取引終値は日中比70円安の19345円。
25日線からの乖離はマイナス2.1%。
騰落レシオは100.66%まで上昇。
NTレシオは火曜に12.14まで低下し今年の最低水準を更新したが昨日は12.15。
空売り比率は41.8%と日経平均が反転しても依然40%台。
結構な重症だ。
26週移動平均(19569円〉の奪還が重くのしかかる。
日経平均は一目均衡の雲を下抜け、雲の下限は19731円とはるか上。
ボリンジャーのマイナス2σは19372円。
マイナス3σの19135円までの覚悟は必要ないだろう。


マーケットが気にするジャクソンホール。
所詮北米の晩夏の金融マフィアの避暑地の謝肉祭と思えないところが市場の貧しさ。
今は経済シンポジウムだが1978年にスタートした時は農業問題を議論する場。
1982年から今の「ジャクソン・レイク・ロッジ」で開かれている。
興味深いのは逸話。
カンザスシティ連銀が選んだジャクソンホールは渓流釣りで有名な場所。
当時のFRB議長ボルカ─氏は大のフライフィッシング好き。
だからこの会議に呼ぶためにあえてカンザスシティ連銀はこの場所を選んだという。
所詮その程度の動機でスタートした集まりをいちいち材料視する市場も変な感覚だ。
東京ではこのあたりの感覚が麻痺というか、去勢されているので何でもありがたがる傾向がある。
この舶来主義からの脱却は夏目漱石でさえ悩んだところだが、もういい加減にいいだろう。

伸びる企業の条件の一つとして最近感じているのは「自由さ」と「こだわり」。
自由さと風通しの良さは少し違うかも知れないが社内部門という組織を超えた活動の自由さ。
あるいは、「やってみなはれ」的なトップの寛容さ。
以前の対面営業数字至上主義ベッタリの証券会社のような真逆の存在の企業が伸び伸びと成長しているように見える。
細かい数字にこだわるようでは毎年数%の成長はできるのだろうが、2倍3倍の成長というのはおそらくフロック。
アミーバのような拡張のために必要なのは自由だ。
例えば、会議のない世界というのはバッジをつけている限り逃れられない現実。
でも会議の参加者の多くは主催者を除いてその会議に意義を見つけているのかどうかは疑問。
もしも日本の企業社会から会議という名の時間の束縛と全体主義が消えると、企業の生産性は桁違いに増えるような気がする。
もう一つは「こだわり」あるいは「プロ意識」。
そもそも企業の人間はアマチュアではない。
しかも外から見れば誰もがプロである。
だったら仕事に責任を持つプロ意識というこだわりは決して捨てて良いものではない。
プロとして、その仕事が顧客に対して恥ずかしくないかどうか。
これを自問する企業風土というのも成長企業の条件だ。
こだわりの上で満足できるものでなければ提供しない勇気なんてものは滅多にお目にかからない。
でも「100%満足できる仕上がり」のものを「絶対に失敗しない」というプロ意識。
「こだわり」の商品・サービスを提供している企業が追求しているのは、目先の利益ではなく永続的なブランドと信用。
だからこそ長期的なく成長が可能になる筈。

前場取材に行った化学セクターの225採用銘柄。
中期計画での2018年度の営業利益目標を今期でクリアできそうなほど業績は好調。
グループスローガンは「具体化。」。
化学の企業は大抵がBtoBで最終製品が消費者の目に触れることは滅多にない。
しかしその製品は社会にとって必要不可欠。
日常性のなかに埋没しているが便利さの代名詞は「化学」ということができる。
興味深かったのは取材中のコメント。
「そもそも産業は自動車・電気・化学と言われます。
GDPへの寄与でも設備投資でもこの3業種はメインです。
自動車も電気も目に見えるのですが化学は目に見えません。
でも生活を支えているというのが歴然とした現実です。
例えば東南アジアなどで中間層が増え始めました。
食品分野ではラップ包装や食品トレーなどは一度使ったらその便利さを捨てることはできません。
あるいは、ビッグデータやIoTが進むことも化学にとっては追い風。
データを保存するハードディスクはクラウドの進展でまさに需要が拡大。
データというのは面白いもので、なかなか捨てられませんし消されません。
ここも化学の分野です。
産業としての化学の未来って相当広がっています」。
リチウムイオン電池、パワー半導体、黒鉛電極・・・。
原料がなければ何も進まない世界で市場は実は目に見えそうなものばかりを対象にして動いている。
ここにまだ隙間があるように思えてならない。
この化学会社の広告は「化学小説、人生は方程式」。
「化学のチカラで夢を具体化。」
そして昨今話題の「ESG」。
GPIFがターゲットとしたのは「MSCI日本株女性活躍指数(WIN)」、
「FTSEブロッサムジャパン」、「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ」。
この企業は3指数ともに採用されている。
相当面白い取材だった。



(櫻井)

 
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