NYダウ反落292ドル安、景気失速に警戒感
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【市況】NYダウ反落292ドル安、景気失速に警戒感 |
14日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比292ドル06セント安の3万4577ドル57セントで終えた。
朝方発表された8月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比5.3%上昇。伸びが約13年ぶりの大きさを記録した前月(5.4%上昇)から鈍化した。インフレ高進への懸念がやや後退し、ダウは買い先行で始まった。
ただ、買い一巡後はコロナ変異株のまん延が嫌気される中、景気減速への警戒感が強まり、景気敏感株を中心に売られ、マイナス圏で推移した。ダウは利益確定の売りにも押され、終盤まで軟調な展開が続いた。米議会下院の与党民主党が発表した連邦法人税率引き上げなどの税制改革案も地合いを悪化させた。
CPIでエネルギー・食品を除くコア指数は前年同月比4.0%上昇と、伸び率は前月(4.3%)や市場予想(4.2%)より小さかった。市場では「インフレ圧力の高まりは一時的としてきた米連邦準備理事会(FRB)の見方を裏付けそうだ」(TD証券)との声が聞かれ、FRBは金融引き締めを急がないとの見方を誘った。ダウ平均は上げ幅を120ドルに広げる場面があった。
ただ、買いは続かなかった。米10年物国債利回りが一時、前日比0.06%低い1.26%まで下げ幅を広げた。長短金利差が縮小し「新型コロナウイルスのデルタ型の感染拡大などを背景とした景気懸念を誘った」という。16日には8月の米小売売上高の発表も控えており、米景気動向を見極めたいとの雰囲気が強まった。
景気敏感株を中心に売られ、建機のキャタピラーや化学のダウ、工業製品・事務用品のスリーエム、航空機のボーイングが安い。利ざや悪化懸念から銀行のJPモルガン・チェースは2%近く下げた。前日は買いが目立った石油のシェブロンも売られた。主力ハイテク株では、14日にスマートフォンの新機種「iPhone(アイフォーン)13」を発表したアップルが1%安となった。
ダウ平均の下げ幅は引け間際に一時360ドル近くに達した。キングスビュー・インベストメント・マネジメントのポール・ノールト氏は「米国株はそろそろ調整局面を迎えてもおかしくないとの見方が増えてきた」と指摘する。景気減速やFRBのテーパリング(量的緩和の縮小)への警戒感がくすぶり、不安定な相場につながっている。
ナスダック総合株価指数は5日続落した。前日比67.823ポイント安の1万5037.759で終えた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムが下げ、動画配信のネットフリックスは2%安となった。
NYダウ工業株30種(ドル)
34,577.57−292.06
S&P500種
4,443.05−25.68
ナスダック
15,037.759−67.823
NY金(ドル/トロイオンス)
1,807.10+12.70
NY原油(ドル/バレル)
70.74+0.28
円・ドル
109.71 - 109.72−0.29

14日のシカゴ日経平均先物は反落した。
12月物は前日比285円安の3万0135円で引け、14日の大取終値を265円下回った。
NYダウは、14日発表の8月消費者物価指数(CPI)の伸びが前月から鈍化し高インフレへの懸念が後退し、寄り付き後、上昇した。同時に、新型コロナウイルスの変異株流行による景気回復への影響が裏付けられたため売りが加速、下落に転じた。
変動の大きい食品とエネルギーを除く上昇率が鈍化し、米長期金利が下げた。
米長期金利の低下を手掛かりに日経平均先物は米株とともに売られた。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
30135 ( -265 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
30190 ( -210 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7034.06(−34.37)
14日のFTSE100種総合株価指数は3営業日ぶりに反落した。前日の終値に比べ34.37ポイント(0.5%)安の7034.06で引けた。構成銘柄の約7割が下落した。
他の欧州主要国の株価指数は強弱まちまちだった。
外為相場のポンド高などが上値を抑えた。指数構成銘柄全体の約7割が下落。
資源株や金融株が下げを主導した。銅価格の下落を背景に鉱業株が売られ、銀行株の下落とともに株価指数の下げに大きく影響した。
個別銘柄では、航空のインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)は、アナリストが投資判断と株価目標をともに引き下げたことから4%超下落した。ロシアの鉄鋼大手エブラズの下げも目立った。
半面、スポーツ関連小売りのJDスポーツ・ファッションは10%近く上昇した。2021年2〜7月期に大幅増益となったほか、22年1月期通期の利益は2倍以上になるとの見通しを示したことが好感された。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15722.99(+21.57)
14日のドイツ株式指数(DAX)は小幅に続伸した。終値は前日と比べて21.57ポイント高の1万5722.99だった。終日、方向感の定まらない不安定な展開だった。
個別では、ドイツポストと半導体のインフィニオンテクノロジーズの上昇が目立った。料理宅配大手のデリバリーヒーローは売られた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6652.97(−23.96)