ダウ反落し164ドル安 決算受け個別銘柄に売り
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【市況】ダウ反落し164ドル安 決算受け個別銘柄に売り |
28日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比164ドル55セント(0.5%)安の3万3820ドル38セントで終えた。
1〜3月期決算の内容が嫌気された一部企業が重しとなり、ダウ平均は終日マイナス圏で推移した。決算内容が市場予想を下回ったボーイングやアムジェンがダウの下げを主導。
売上高や1株当たり利益が予想を上回ったマイクロソフト(MS)も、高値警戒感が広がる中、売りを浴びた。
一方、同利益が市場予想を大きく上回ったグーグルの持ち株会社アルファベットは買いが集まり、ナスダックを下支えした。
午後に米連邦準備制度理事会(FRB)が事実上のゼロ金利と量的緩和策の維持を発表したが、内容は事前予想通りで、市場の反応は限られた。ただ、パウエルFRB議長が記者会見で「資産購入の段階的縮小(テーパリング)に関する議論をまだ始める時期ではない」と発言すると、金融緩和が長期化することへの安心感から、ダウは一時下げ幅を縮める場面もあった。
前日夕に発表した2021年1〜3月期決算が市場予想に反して減収となったアムジェンが7%下げた。好決算を発表したソフトウエアのマイクロソフトは材料出尽くしの売りに押され3%安。28日発表の決算で赤字幅が市場予想以上に拡大した航空機のボーイングも3%安で終えた。これら3銘柄でダウ平均を216ドル押し下げた。
午後の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表後に38ドル安まで下げ幅を縮める場面があった。FOMCでは金融政策を据え置いた。会合後に公表した声明では、新型コロナウイルスのワクチン接種を背景に「経済や雇用指標は力強さを増した」と景気認識を引き上げた。ただ、物価上昇については「主に一時的な要因を映して上昇した」と指摘した。
パウエルFRB議長は記者会見で資産購入の縮小について問われ「まだその時期ではない」答え、雇用や物価動向が政策目標に向けて進展するか注視していると述べた。発言を受け、金融緩和策が長期間続き、米景気の力強い回復を促すとの見方が強まった。化学のダウや建機のキャタピラー、銀行のJPモルガン・チェースなど景気敏感株の一角が買われ、ダウ平均を支えた。原油先物相場の上昇を受け、石油のシェブロンも高い。
ナスダック総合株価指数は続落し、前日比39.185ポイント(0.3%)安の1万4051.031で終えた。前日夕に21年12月期通期の増収率見通しを引き上げた半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)は買いが先行したが、利益確定売りに押された。半導体株全般に売りが広がった。
一方、前日夕に市場予想を上回る増収増益決算を発表したグーグルの親会社アルファベットは3%高。29日に決算を発表するネット通販のアマゾン・ドット・コムにも買いが入り、ナスダック指数は高く推移する場面があった。
NYダウ工業株30種(ドル)
33,820.38−164.55
S&P500種
4,183.18−3.54
ナスダック
14,051.031−39.185
NY金(ドル/トロイオンス)
1,773.90−4.90
NY原油(ドル/バレル)
64.13+0.27
円・ドル
108.61 - 108.62+0.02

28日のシカゴ日経平均先物は続落した。6月物は前日比115円安の2万8940円で引け、28日の大取終値を110円下回った。
NYダウは、FOMCで大規模緩和の据え置きが決定されたほか、パウエル議長が資産購入の縮小議論をする時期ではないとしたため緩和縮小はまだ先との安心感から一時下げ幅を縮小した。しかし、議長が株式には市場のフロスを反映している部分があると言及したことを受けて、引けにかけては再び下げ幅を拡大した。
日経平均先物は米株安を手掛かりに売られた。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
28940 ( -110 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
28955 ( -95 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
28日のFTSE100種総合株価指数は反発した。前日の終値に比べ18.70ポイント高の6963.67で引けた。上昇と下落の銘柄数はほぼ拮抗した。終日高値圏で推移した。
好決算の発表が続き投資家心理が改善した。28日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を前に様子見ムードも漂い、上値は重かった。原油相場の上昇を背景に石油株が買われ、銀行株の上昇とともに株価指数を押し上げた。
個別銘柄では、広告のWPPグループは、2021年1〜3月期の売上高が市場予想に反して増加し4%超上げた。銀行のロイズ・バンキング・グループの上昇も目立った。21年1〜3月期の税引き前利益が市場予想を上回ったことが好感された。
半面、鉱業のフレスニージョは21年通期の業績見通しを据え置いたため4%超下げた。流通大手セインズベリーも2.9%安とさえなかった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
28日のドイツ株式指数(DAX)は反発した。終値は前日と比べて42.91ポイント(0.3%)高の1万5292.18だった。好決算が続き買いが広がった。
個別では、ドイツ銀行は、2021年1〜3月期の純利益が市場予想を上回ったことから10%急伸した。料理宅配大手のデリバリーヒーローも大幅高だった。21年通期の売上高が前年の2倍以上に達するとの見通しを示したことが好感された。半導体のインフィニオンテクノロジーズは売られた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は終値ベースで2000年11月以来の高値で引けた。